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ゴーストテイマー  作者: 栗鮑菊
9/14

9話

「おかーさん」

「はーい、なぁにルミナス」


婆さん達を送ってから数年経った。

いや、年って感覚が無いから分からないんだけどね。

あるのかなそんな概念。

季節感全く無いからよくわかんね。


もう小学生低学年くらいの身長なんじゃないかな。

いい加減この体にも慣れた。

慣れたっつっても用を足す時と風呂くらいしか違和感感じないからなんとも言えないか。

声とかも声変わりする前のままだと思えば気にならない。


「そろそろシスターと会う時期じゃなかった?」

「そう言えばそんな頃かしら〜?」


最初は毎週会っていたんだけど、唐突に「そろそろめんどくさい」とか言い始めたから2週間になり3週間になり……まぁ特に決まりも無くそろそろかなーと会っている。


♢ ♢


「ったく律儀に毎度よく来るねぇ」

「いーじゃんシスター暇でしょ?」


実際にはなんだかんだとあちこち行っているらしいが、不思議と行くと居るんだよな。


「言うようになったねお転婆娘。で?魔力は相変わらずかい」

「うん、もうちょっと慣れたら追加の銀貰いに来るよ」


銀とはシスターに貰った指輪の事だ。

実際には銀じゃないと思うが銀と言って通じてるから銀と言ってる。

銀って体に悪いんじゃなかったっけ?覚えてないけど。


で、魔力の扱いに慣れたらちょっとずつ増やしてもらってる。

今はそうだな、大体野球ボールより少し小さいくらいかな。

普段は腕輪状態にしてる。


「そうかい。どれ、ちょっと見せてみな」

「どんな形がいい?」

「いつものやつでいい。よく知らないがお気に入りなんだろう?」

「流石に飽きてきたけどね」


そう言って折り鶴の形にする。

何故か無性に作りたくなっただけなんだがそろそろ飽きてきた。

当然難無く作れる。


「いつ見てもよく分からない形だねぇ。ツルとか言ったかい? 鳥だとか言うが足が無いしペラペラだし」

「だから普通は紙を折って作るやつなんだってば」

「エルダもディーンも知らないって言うじゃないか。誰に聞いたんだいそんなもの」

「お、思いつきです……」


まさか前世だとは言えまい。しかも別世界だし。


「ま、こんな複雑な物が作れるんだ、今日追加してあげようかね」


そう言ってゴトッと卓球のボールくらいの銀をくれた。


「え、こんなに!?流石に扱えないんじゃないかなぁ。というかいつもどこから出してるの」


いつも唐突に手から出されてる気がする。間違いなく、多分。


「しばらく出掛けるからその分さ。どうやって出してるかは……今度教えてあげよう。具体的にはそれを扱えるようになってからかね」

「嘘だあ。前もそんな事言ってたよシスター」

「さあて覚えてないねぇ」


まぁいつもの適当な会話だ。


「そうさねぇ、もしこの大きさを扱えたら今すぐ教えてあげよう」

「!?」


今度はゴトッどころじゃない量を出してきたぞ。

サッカーボールくらいあるんじゃないか?


「やるだけやってみな。ツルほど精巧じゃなくても良い。棒状、板状なんでも良いさね」

「う、うん」


魔力使うと疲れるんだけどなぁ。

肉体的疲労でも精神的疲労でもない変な疲れがくる。

昔一日中遊び倒したら次の日ずっとボーっとしてたな。

あ、ヤル気が無くなる感じかな。なーんにもする気起きなくなるんだよね。


「じゃあとりあえず長細くしてみようかな」


まずは触れて魔力を流してみる。

変形させるには中に十分な量を満たす感じで……

うわ、もうこの時点でかなりキツイ、謎の倦怠感が……


「よし、いくよ」


流し込んだ魔力で銀を引っ張る感じに動かす。


「んんんんーーー」


重い。すっげー重い。

もっと魔力を流すか?

いや、これ以上やるとボーっとなる。多分。


「まだ無理そうかねぇ」

「もーすこしやらせて………!!!」


今やってる事は力技な所がある。

ちょっとズルかもしれないが工夫してみるか。

例えば魔力の手を作って外側からも力を加えたり。

ダメだこれだと結局魔力使ってんじゃんバカか俺は。

どーしよ。

流してる魔力回収出来ないしなぁ。

転がせないか?


「うーんうーん」

「まだやるかい?」

「これで無理なら諦める……」

「うん?」


転がせば長細くなる。

転がせられればの話だけどね!


「こう……ゴロゴロっとぉ……!」


グググっと少しずつ動かす。

一度動き始めたら慣性も手伝ってかドンドン転がっていき……


「あっ」


テーブルから落ちた。

シスターが落ちた銀を手に取る。


「アッハッハ!!」

「笑わないでよこれでも頑張ったんだから」


今日はダメそうだな。

まぁ成功してもズルだけどね。


「上等じゃないか! エルダ、今日は泊まって行きな! ディーンには使いを送っておくから!」

「「???」」

「合格だと言ったんだよ! 恐ろしい子だよホント。見な、見事に変形してる」


シスターがテーブルに持っていた銀を置いた。

見ると確かに変形している。

棒状と言うには程遠いが円柱形っぽい。


「そんなんでいいの?ていうか落としたから変形したんじゃない?」

「今まで持ってて分かるだろう?その程度で変形するような代物じゃないよコレは」

「よく分からないけど流石ルミナスね〜」


あそこまで変形してなかったような気がするんだけど、ふふふと笑う母親を見ると「まいっか」って思えてくるから不思議だ。


「じゃあまずはご飯の準備をしようかね!」

「え? どこから銀出してるのか教えてよ!」

「んなものは後さね。あとあと!」


ハッハッハと笑うシスターに連れられて台所へと向かっていった。

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