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ゴーストテイマー  作者: 栗鮑菊
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6話

<朝>


「おはようルミナス。……何をしているのかしら?」


なんだか早くに起きてしまったので魔法の練習をしようとしたのだが、

魔力消費をするとまた眠ってしまいそうだったので爺さんに講義をしてもらっていたのだ。


どうやって爺さんと意思疎通が出来るようになったかだって?

出来てないんだなコレが。


婆さんが『ルミナスがもう起きたみたいだよ。遊んであげな!』とか言って爺さんに丸投げして何処かに行ったんだが、なんと爺さんは赤ん坊相手に魔法の講義を始めたわけだ。

まあ俺にとってはありがたい。それに講義って言っても魔力の移動させるコツを教えてくれているだけだ。


『今このあたりに集まっとるの。一度開放して今度はこっちに集められるかの?』

こんな感じだ。


んで段々と出来るようになってきて右手から左手へ魔力を移動させたりして遊んでたところでママンが入ってきたわけだ。

傍から見ると太極拳を寝転がったままやってるような感じじゃなかろうか。

どう見ても変な踊りですよね。分かります。


『なんじゃもう朝か。ルミナスが生まれてから生き甲斐が増えて楽しいのぉ。』

「ぁぅぁ。」爺さんもう死んでるだろ…生き甲斐ってなんだよ。

「ルミナス。今日はシスターの所に行くわよー。楽しみねー。」

『今日は少し遠出するのかの。楽しんでくるといい。』

「あい。」遠いのかぁ。


そういや昼間にジジババを見たことないけど普段何してんだろ?

喋られるようになったら聞いてみるかな。



<昼>


爺さんが遠出って言うから結構かかるのかと思ったら1時間程歩いただけで着いた。

もっと魔法的な乗り物を期待してたんだけどなあ。

箒で飛ぶとかロマンじゃん?


「シスター!いるー?」

「なんだい騒がしいねぇ。あらま、エルダじゃないのさ。」


教会の奥から杖をついたおばあちゃんが出てきた。

本当に杖が必要なのかってくらい元気そうだ。


「お久しぶりですシスター。お元気そうで。」

「ディーンも元気そうだね。んでルミナスだったかい?」


シスターが俺を撫でる。今はパパスに抱っこされている状態だ。


「シスター。ルミナスの事で相談があります。」

「なんだい急に。病気には見えないけどねぇ。」

「ルミナスが魔法を使いました。道具無しで。」

「本当かい?成る程、それで私の所へ来たってわけかい。」


シスターは俺をジッと見る。なんか怖いんだけど。


「立ち話もなんだし奥で話すとしよう。美味しい紅茶を貰ったんだ。」

「丁度いいわ。クッキーを焼いてきたの。」


あのガサツなエルダがクッキーをねぇ。等の会話をしながら移動する。

その後しばらく紅茶とクッキーを頂きながら世間話をしていた。

俺?暇過ぎて魔力操作の練習してたよ。


「クックック。ディーンはともかくエルダまで気付いてないみたいだね。」

唐突にシスターが悪い笑い声を出す。


「えっ何?やめてよシスター。気味の悪い。」

「ルミナスだよ。どこで覚えたんだろうね全く。道具無しで魔法を使ったってのは本当のようだねぇ。」

シスターはそう言って何処からか水晶玉のようなものを持ってきた。


「それは?」

俺を抱いているパパスが興味深そうに覗き込む。

水晶玉の中に色とりどりの粉が浮いている。

見たことあるんだけどなんて言ったっけな…スノードームだっけか?逆さまにしたりして雪が降ってるみたいに出来るやつ。


「キレイだろう?魔力で中の粉を動かすんだ。」

シスターが水晶玉に触れると粉が動いてとても綺麗だ。


「ルミナス。そのまま手遊びしてるんだよ。」

シスターが俺の手の近くに水晶玉を近付ける。

すると綺麗に舞ってた粉が荒れ狂うように動き始めた。


「えっ?これルミナスがやってるの?」

「そうだよ。私は何もしていない。つまりこの子は私と同じさ、自力で魔力を操ってる。」


俺は操作するのが面白くてスノードームを魔力でかき回す。

細かく動かすのは上手く出来ないので大雑把にグルグル。


「そいつはあげるよ。玩具になるんじゃないかい?」

シスターはニコニコしながら俺を見ている。


「いいのですか?」

パパスが遠慮気味に聞く。


「構わないよ。どうしても気になるなら定期的にルミナスを見せに来な。」

「それくらいなら!」

ママンは嬉しそうだ。


「それで、相談ってのは?」

シスターが聞いてくる。


「道具も使わずに魔法を使ったから悪魔憑きかもって思ったの。違ったみたいね。」


えっ俺そんな事思われてたの!?

悪魔じゃなくて幽霊ならほぼ毎晩会ってんだけど大丈夫だよね…?


「悪魔が憑いてたらとっくに暴れてるよ。大人しいもんじゃないか。」

「シスターも悪魔憑きだって騒がれてたじゃないの。」

「私の場合酔った勢いで盛大に魔法を使ったせいだよ。あの時は大変だったねぇ。」


しみじみと言ってるけど何やらかしたんだこの人。


「ではこの子は大丈夫なんですね?」

パパスは改めて聞く。


「大丈夫だよ。けど私みたいに勘違いされても厄介だからねぇ。」

また何処からか箱を持ってきた。

「コレでも着けさせておきな。魔力で形を変えられる指輪だ。今回は私が変形させるけどそのうちルミナス自身でやるだろうね。出来ないうちは定期的にうちに来るんだよ。」


「ありがとうシスター。」

「ありがとうございます。」


二人の表情が心なしか穏やかになった気がする。

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