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ゴーストテイマー  作者: 栗鮑菊
4/14

4話

<夜>


ん…すげーよく寝た気がする。窓の外は真っ暗だし夜中か。

しかし魔法がある世界とは。楽しくなってきた。

もっと遊び…もとい練習したいが杖や指輪といった発動媒体が必要なんだっけ。

それも使用する方法も媒体毎に固定されているようだった。


だがそれにしては浮遊魔法限定らしき指輪を使ったのにヒンヤリするくらいの魔法は出せた。……気がする。

気がするだけなのだが何か引っかかるんだよなぁ。今度同じ指輪で火でも出そうとして暖かくなったりするか試してみようかな。


『それにしてもよく寝る子じゃのぅ。』

『赤ん坊なんだ。仕方ないさね。』


またあのジジババか。

俺の部屋はジジババと共有なのかね。

というか夜型のジジババってのも面白いな。前世の祖父母は父方も母方も両方典型的な早寝早起き老人だったから違和感が凄いな。

っと…今日は上手いこと寝返りうてそうだぞ。姿を拝んでやるとしますか。


「んー?」

『おっと、起こしちまったかい?』

『すまんのぉ、普段は誰にも気を使う必要が無いからついお喋りをしてしまう。』

「あぅ。あう?」いいよ。どこに居るんだ?

『よく寝たからお腹でも空いたんじゃないかい?』

「………」


思わず絶句した。

声の聞こえる方を向くとジジババが覗き込んで居た。

だが驚いたのはそこではなく……半透明だったことだ。


え?なに?どういう事?

目か頭がおかしくなった?

それか夢なのか?

けどそれにしては妙に現実感がある。

もしかしてこの世界だと寿命間近で透明化すんの?

にしてはめっちゃ元気そうな声だし…。


『爺さんや、もしやこの子…あたしの姿が見えとるんじゃないかい?』

『そりゃ凄いのう。』

『また信じとらんじゃろ。気持ちは分かるけどねぇ。それよりも確かめてみるとするかい。』


見えないのが前提の会話?

つか何する気だ?


『ルミナスや。……ルミナスで合っとったかの? わしの手が見えるなら触ってみてくれんかの?』


爺さんが近くまで手を伸ばしてくる。婆さんは何かを考えている顔でジッと見ているだけだ。


どうする?

触ろうとする事は別に問題はない。ないんだが…取り憑かれたり呪われたりしないだろうな?

なにせ魔法もある異世界だ。呪いなどといったオカルトも現実味を帯びてくる。

だがこんな何も出来ないような赤ん坊相手に恐る恐る手を伸ばしている爺さんを見ているとそんな気持ちも薄れて来た。


いいか。悪いジジババじゃないだろう。


「あい。」

『おぉ、本当に見えとるのか…。』

『爺さんや、今驚くのはそこじゃないよ。こんな小さな赤ん坊が言葉を理解しているんだよ!』


まあ驚くよな。ママンですら怖がってたくらいだ。

だがそれよりこの折角伸ばした手が爺さんの腕を素通りしたのをどうしたらいいのかを教えてくれ。なんか気まずい。


『賢い子じゃのぅ。じゃがやっぱり触れんか。』


爺さん達は幽霊か何かなのだろうか。

俺が見えたり聞こえたりするのは珍しい様子だし、この世界にはゴースト系は居ても見えないのが普通なのかもしれない。

お経読んだら成仏したりするかな……お経全然知らないけど。


「あぅ…。」とか考えていたらお腹が空いてきたな。

『やっぱりお腹が空いているみたいだねえ。エルダを起こしてきてあげようかね。』


婆さんはそのまま壁を通り抜けて行った。

ママンは別の部屋にいるのか。普通赤ん坊はそばに置いておくもんじゃないのか?


『わしがあちこち行くとエルダの着替えを見てしまうと怒るからのぉ……別に良いが、授乳を見るのは怒らんのが分からん。どう違うんじゃろぅ?』

「あーう。」知らないよ…。



しばらくしたらママンが部屋に入ってきた。

婆さんも一緒に帰ってきた。だがママンはジジババに気付いていないみたいだ…。

どうやって起こしたんだ?


「よく寝てたわねぇ。魔力はもう平気なのかしら?」

「あい。」

「それは良かったわ。じゃあご飯にしましょうねー。」


相変わらず恥ずかしさが物凄い…だが腹が減って仕方がないので目を瞑ってたっぷり頂いた。

早く離乳食にならないかな…。あるいは哺乳瓶にしてくれたらありがたいです。


「そうそうルミナス。ディーンにルミナスが魔法を使えた事を信じてくれないのよ。

まだ早いって言ったのにあの絵本を買ってきたのはディーンなのにね。ふふふっ。

明日見せつけてあげましょう。ルミナスは凄いんだぞーって。」


俺が栄養補給している間にママンがそんな事を言っていた。

同じように使えるとは限らないがまた試せると思うとワクワクする。


「じゃあ私は寝室に戻るわね。おやすみルミナス。」


そう言ってママンは部屋から出ていった。ほんとに別々に寝るのか…。

まあ前世の記憶がある俺にとっては然程問題は無いからいいか。


『ルミナスや。』

「あう?」何?婆さん。

『さっきエルダが魔法を使えたって言っていたけれど本当かい?』

「あい!」

『なんと!そりゃ凄いのう!流石エルダの子じゃて。』

『コレも何かの縁かねえ。爺さんや、魔法を教えてやったらどうだい?』

『そうじゃの。婆さん以外誰とも話も出来んかったんじゃ。楽しみが増えたわい。』


そうか……他の幽霊仲間とかは居ないのか。

だが付き合ってやりたくても赤ん坊だと意思疎通が難しいぞ?


『エルダは魔法使いの才能はあるがおかしな方法を取るからの。教えてやりたい衝動が溜まっとったところじゃ。ほっほっほ。』


おかしな方法? 無詠唱の事か?

だとしても矯正する必要は無さそうだが。


『ではルミナスよ。なんでもよい、魔法を使ってみてくれんか。 あ、火はやめておくれ。火事になっては困るからの。』


火以外でも困る魔法色々あると思うんだけどな…。それよりもだ。

「うー? あうあ?」杖も指輪もなくちゃ出来ないぞ?


『なんじゃ? 言っている意味が分からんかの? 魔法じゃよ。

もしや使えた魔法が火だったのかのう?』

「いあいあ。あーう!」違う違う。指輪が無いの!

『爺さんや、この子もエルダと同じ魔法の使い方をしとるんじゃないかい?』

『物にお願いをするアレの事かの? じゃがアレが出来るなら普通に魔法を使えるはずじゃよ。』

「あう?」何だって?


『ルミナスや。エルダにどう教えて貰ったのかは分からんがの。

物なんぞ無くとも魔法は発動するんじゃ。やってみてくれんかの?』


詠唱が要らないの次は触媒へのお願いも要らないときたか…。

てことはイメージさえ出来ていればいいのか?

流石に簡単過ぎる気がするんだが…。


とにかくやってみるか。

この小さい布団を持ち上げてみるとしよう。

持ち上がれ持ち上がれ~~~~~~………。

「あい!」


シーン…。


やっぱダメじゃん。指輪が無いからか?


『ふむ。なんの魔法を使おうとしたかまでは分からなんだが、ちゃんと魔力は集まっとるな。

じゃが闇雲に魔力を集めとるせいで余計な魔力まで集めとるようじゃ。もっと必要な魔力だけ感じ取るんじゃ。

……分かるかの?』

「ぁぃ。」


なんというか…たどり着くべきゴールは分かったがルートが分からない…。

そもそも必要な魔力どころか余計な魔力すら感じ取れてないんだよな。

まずはさっきみたいに集めてから感じ取る訓練をしよう。



その後しばらく魔力を集める為に持ち上がれと念じ続けたが上手く感じ取る事が出来ないまま疲れて眠ってしまった。


『どんどん集まる魔力が増えとったの……闇雲に。』

『赤ん坊だから仕方ないさね。気長に教えてやりな。』

『そのつもりじゃよ。将来が楽しみな子じゃのう。』


寝る子は育つ。

タイトル回収はまだまだ先になりそうです。

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