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モモ太郎と鬼ヶ島。九話目。

続きになりますよ♪


以下同文。


では、お楽しみくださいませ♪

『さて、私たちの話が済んだところで早速ですが山将に陸将よ、隠しておいた宝船をこちらに寄越してくださいませんか?』

『『は、はあ…』』

『若様。本当に奴らに宝物を分けてやる御積りなのですな』

『空将。如何いかに彼らに不安要素があったとて、私は一度取り交わした約束を違えるつもりはありませんよ』

『流石は若様。その心意気や良し!それがし感服致しました。では山将に陸将よ、舟をこちらに回して来てください』

『『はっ!!』』


 はっ?!オレは鬼退治なんて言う難事業の末に手に入れたお宝を、アホのオレたちにタダでくれる勇敢な若武者や神獣の皆様に対して、ウダウダ妬みに近いことを考えてしまっていた。


 ふっ♪いやはや我ながらなんとも恥ずかしい限りである。


 さて、くだんの宝船はオレたちがいる砂浜とは反対側の、とっても大きな岩の陰に繋がれていたらしく、ゆらり海面を波立たせながら猿と犬に操られ、その神々しすぎる雄姿を眼前に現した。


「「「「おおっ!!!!」」」」


『驚かれましたか?』


「「「「はい!とっても!!!!」」」」


 あの船頭たちが使っていた憎き漁船なんかよりも、二回り以上は大きな船に山と積まれた金銀財宝の大山脈…。アカン!凄すぎて涎がドバドバ出てきたわ!!


『先程も申しましたように、流石にこの船のすべてをお渡しする訳には参りませんが、どれか一つだけお気に入りの品あれば、今からお取りいただいて結構ですよ』


「「「「あざァアアーーーーーーーーす!!!!」」」」


 オレたちはジャンプ台から海に飛び込む感じの、やってみるととっても楽しいル〇ンダイブで、お宝の山の山脈に身体ごと突っ込んでいった。


『これはこれは…。なんともはや、想像以上に浅ましき者連中よ』

『誠に清々しいにも程があるわ』

『本当の阿呆とは、あやつらのことを申すのではないかな』


 犬猿キジの三神獣は、心底から馬鹿にした目でお宝を漁っているオレたちを見下している。


 うん、そんなことは今はどうでもいい。オレが気に入るお宝を見つけることが先だしな!だって…。


『皆さーん。いいですか?さっきも言いましたようにお宝は一人一個までですよ!ルールはちゃんと守ってくださいね!』

「「「「はぁーーーーーい!!わかってまぁーーーすよ!!!!」」」」


 なんて若武者が言うもんだから、他の三人に取られる前になんとしてもいい品を手に入れなくていけない!こんなアホ共に良いお宝を取られるなんてオレ的にはあり得ない。絶対にだ!!


「ちょ、おま!うちが目を付けた宝玉に汚い手を伸ばすなよ!」

「あんた何してくれはりますのん!その黄金の蒔絵はあっちのもんや!」

「ごめんね。あたしコレとっても気に入ったの。だからね、他の探してくれると助かるんだけど…」

「ちょ!殴るのだめ!蹴るのはもっとダメ!!痛いから、骨がボーンてなるからね!!おお!!どさくさに紛れて血吸うのやめろやヒルナンダス!!」


 少女妖怪どもは気に入りのお宝を抱え、一切の手加減せずにオレを盛大にぶっ叩き残り少ない血を吸いつくそうとしてくる。


 そしてオレはと云えば、可愛らしい顔と華奢な身体に似合わず、ここぞという時には超絶怪力を発揮するタヌ子によって左手の小指で軽々と持ち上げられ、遂には船から海に放り出されてしまっていた。


 ねえ、オレの宝物はどこですか?竜宮城にでも行かないと見つからないモノなんですか?


『皆さま、お決まりになりましたか?』


「「「はぁーーーい♪」」」

「はーい……」


 結局オレが手に入れたのは、異様に恐ろしく怖いほどに飛び出して、あろうことか左右に見開かれたドングリまなこと、先の尖りまくったブットい太い舌までニョロっと出した、オレには使いどころがあんまりないにもほどがある、キモすぎるガマガエルの銅製の文鎮だけが手のなかに……あって……。


 シクシクシクシク。。


 オレはこの重い文鎮を両手で抱きかかえ、独り砂浜で膝まで抱えて寂しく泣いた。



ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。

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