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モモ太郎と鬼ヶ島。八話目。

桃太郎の歌ってありますよね?


もーもたろさん♪ももたろさん♪


てやつ。


アレ全歌詞聞くと、とっても怖いです♪


では、続きをお楽しみくださいませ♪


「なあ誰かコレ、この頭の両脇にぶっ刺さった奴。こうスッと取ってくれない?それはもう全然痛くない感じで」

「あたしは無理だよモモ太郎くん。だってあたし楽しくなってグッと奥まで刺したちゃいそうだし…」


 何故なにゆえ!?


「うちも嫌だな、手がすっごく汚れそうだし」


 刺した張本人がナニ云ってくれちゃってんの!?洗えよ!手ぐらいあとで洗えよ!!


「うーん、取ってもええねんけど、あとで血吸わせてな?」


 あっそう。君はいいや。


 とか思うのも束の間…。


「ふん!」


 グバッ!!グバッ!!ぴゅっぴゅーーーーっ!!


 まあ、なんて綺麗な二筋の赤い噴水♪ 夜なのに、月の明かりで虹まで見えるわ♪


「てか!超いってぇえええええーーーーーー!!」


 ゴクゴクゴクゴク♪


「てめえ!勝手に引っこ抜いて血飲んでんじゃねえよ!!」


 オレの断りもなく背後に回って角を抜いたヒルナンダスは、放物線を描き結構な勢いで噴き出した血を口に受けて嬉しそうに飲んでいた。しかもコイツ、一方の噴水は直に飲んではいるが、もう一方の血はどこで拾ったのか桶を置いて貯めている。絶対抜くタイミングを狙っていただろう計画的な犯行だった。


「まあまあ、ええやん♪減るもんじゃなし♪♪」

「リアルに減ってるんだよ血が!飲むならせめて止血しろ」

「あいな♪まかせとき♪」


 ごっくん。ちょいちょい。(止血中)ザクッ!(傷を開く)ごっくんごっくん。ちょいちょい。(止血中)


 もう好きなようにしてください。


 ちゅうちゅうちゅうちゅう。


 ヒルナンダスがオレの背に乗り頭を抱え楽しそうに吸っている。うん。リットル単位で吸われてるかな?まあ、傷は抉るけど止血してくれるならいいや。あたまクラクラするけど。あと、なぜだかタヌ子が凄い睨んで来るんだけど、なんでだろうね。


『誠に失礼とは存じますが、その、頭大丈夫ですか?』


「誰の頭がおかしいだ!」

『いえ、そう云う意味ではないんですが』


 人の頭が悪いみたいに言いやがって、なんだこのイケメンは!モテそうだな!腹立つんじゃ!!


 若武者はというと、あれ?これって自分が悪いの?てな気分になったらしく額に手をやり少し考えていたが、たぶん自分の言い方が悪かったのでは?と思い直して再度口を開く決心をした。らしい。


『あ、えっとその。頭の出血は大事ないですか?』

「「なにがですか?」」

『なにがって、あなた本当に大丈夫なんですか?輸血いりますか?』


 驚いた表情の若武者は、誠に以て真剣な眼差しでオレとヒルナンダスを交互に見る。でもオレたちには彼が言ってる意味がよく理解できない。当然だよな。


「これ止血治療なんですけど、それがどうかしましたか?」

「イケメン侍はん、わちきの食事の邪魔したらあきまへんえ?」


 ちゅうちゅうちゅうちゅう♪


『え?その…。あなた方が大丈夫ならいいです。では早速宝物を隠した先に参りましょうか』

「「「はい!絶賛お供いたします!!!!」」」


 手を取り合い大喜びする俺たちを余所に、引き気味で呆れ顔の犬猿キジの食材三匹は、意味が分からないとの思いと、オレたちのを〝合理的な止血〟の方法に血の気まで引いてしまったらしい若武者の傍によって、口々にワイワイ何かを訴えていた。


『若様。それがし思いまするに。この者らの行動、余りにも奇妙奇天烈、常軌を逸しておりまする。なにより奴らのリーダーの頭が【物理的】におかしすぎまする』


 おいこら!お前そこの犬コロ!オレのハゲのどこがおかしいって言うんじゃ!!お前も男じゃ!そのうちハゲるんじゃ!!一緒に可笑しくなれ!!


『拙者も同意で御座る。また奴らが鬼ではなかったとは申せ、彼の者が率いているのが、頭の緩そうなタヌキの娘に見たことも無い鳥の娘、挙句は血を好物とする山蛭の女子など、どれも戦に役立つとは思えなせぬ。それにお宝にすぐさま心動かされるなど信用が置けませぬ。特にリーダーのハゲ。あいつはダメで御座います!』


 てめえ、オレのことを直球でハゲって言ったなゴルァ!!絶対その言葉忘れないからな!将来のハゲ候補生!!


『左様。ですが娘どもの頭のゆるさも気になります。それに奴らがお宝にすぐさま心動かされるのも信用が置けませぬ。なによりあのリーダーが着ている物が赤フン一丁などというのは、頭がハゲている。もとい沸いているとしか思えませぬ!くれぐれも御油断召されますな!』


 ほっとけや!赤フンなのは全部あの船頭たちが悪いんや!!あとオレのことハゲハゲ云うのはお前らの中での流行りかナニカか??いくらオレでも泣きそうになって来たぞ、こん畜生(´;ω;`)



『わかりました。確かにハゲ散らかしたリーダーの赤フンと、お宝にすぐさま心動かされるハゲと彼女らの心意気は確かに信用が置けませんね、…くれぐれも用心いたしましょう』


 もうね、バッチリアンタらの発言が聴こえますよ。


 悪かったな!信用置けなくてごめんよ!!ハゲは男性ホルモンの所為なんじゃ!許してやコラ!あと赤フンはオレなりのファッションなんじゃ!!漏らした時に黄色くならんのじゃあ!!


 オレたちの長所は俊敏すぎるくらい俊敏な変わり身の早さなんだよ。これで今まで生き抜いてきたんだから放っておけよ!それに赤フン一丁なのは、これしかオレが身に付ける物がないからなんだよ!あと、お宝にすぐさま心動かされない奴なんかこの世に居るか?ああん?いるなら教えて呉れよ!!


『ああ、言い忘れていましたが、あなた方に御分けするお宝は一人一個までですよ。残りの内、私どもが一個づつ頂戴して残りは全て略奪された村々に変換致しますので、そこのところよろしくお願いいたします』


 いたよ。すぐさま心動かされない奴。くっそ!!イケメンな上に聖人君子とは、さてはコイツ此の世の人間じゃないな?たぶんだが、オレが察するに今後長い間人々に愛される。なんかこう童話的な、物語な感じ的な、そんなものの主人公になりえる雰囲気が、そこはかとなくビンビンに感じられるのは気の所為だろうか?



 うん。気の所為だな。


 だって、そんな気前がいいことある訳ないじゃん♪だってコイツ、自分のことを『私は八百万の神々が遣わした神果の〝桃から生まれた桃太郎〟です!』とか、真顔で言えちゃうスッゴイ痛い奴だぜ?


 いや桃太郎よ、お前マジで新興宗教でも始めろってWW んで教祖様になってさ、オレにも銭の甘い汁吸わせろください!本気でお願いします!!


 と、モモ太郎は、一人で華麗な妄想に励み、一人で勝手に夢膨らませ悦に入っていた。



ここまでお読みいただき、あざーす!なのです♪

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