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モモ太郎と鬼ヶ島。五話目。

モモ太郎はゲスです。


これ以上に云う事はありません♪

「はっ!!」


 オレはいったい…。


「もう二人のバカ!!モモ太郎くんが死んだらどうすんの?」

「イヤイヤ、お前も落ちてた角材で一緒にどついただろ?」

「えっと…それはそれ、これはこれって御話(おはなし)で…えへへ♪♪」

「おいおい笑って誤魔化すなよ。でもまあ、それはそれとしてもだ。コイツをサクッと地上から消した方が世の中のためには(むし)ろよくないか?」

「せやなぁ、此の世よりあの世で万年単位で再教育してもらった方が、本人の為になるやもしれへんなぁ」

「それって地獄だよね?絶対閻魔様がいる地獄だよね??モモ太郎くん地獄行き決定ってこと言ってるんだよね??二人ともヒドくないですか?」


 んん?こいつらなに言い争ってんだ? 相変わらずアホ共の考える事は解からんな。


 気付けば砂浜の上で脱げかけのフンドシ一枚の状態で寝っ転がっていたオレは。打ち寄せる波の為せるがままに、コロコロ。コロコロ。海水に転がされ翻弄されていた。


 そしてそんなオレの目の前では。砂浜で騒がしく砂山を作りつつキャイキャイしながら言い争う、頭の悪い少女妖怪どもを見付けたので思わず嘆息したところだ。


 こいつらは、自分自身を〝魂〟からアホだと全然判っていないようだが、島に住まうという凶暴な鬼どもがこの姦しい騒ぎを聞きつけてこっちにやって来たら、お前ら一体全体どうするつもりなんだ?と聞いてやりたい。



「あっ、そうか。なんか大事なこと忘れていると思っていたが、そういえばココ。凶暴無慈悲の鬼どもが住んでる島だったけ」



 実はこのパーティーの中で一番のアホだと気付いていないモモ太郎は、それは命に係わる一大事だけど今更ながらようやく思い至り。こんなことを考え始めた。


 ふむ。となればこの島にいる限り、どう考えてもオレはサクッと鬼に殺されるか、よくて生き永らえたとしても、たぶん血反吐の池に浸かるくらいの瀕死の状態に置かれて放置プレイ。アホの三バカ妖怪少女どもは、鬼に散々なぶられた挙句にどこぞに売り払われるか、死ぬまでこの島でイヤラシイ奴隷状態に置かれるかしか道が無さそうなんだが。


 そしてそうなった場合、オレが採るべき道は一つしかない。




【絶対お前ら全員放り出して、鬼皆様にのおべっかを振りまき長ながら出来る限り無傷で、隙を見て地の果てへと逃げ切ってやる!!】




 うん。オレが生き残る道はこれしか無い。


 こう決心したモモ太郎は。先程考えていたことはそっと胸の内にしまい込み。ただただ茫洋と浅い海に浮かび、素知らぬフリを決め込んだ。


 だってさ、こんなこと死んでも彼女たちの前で口に出せる訳ないじゃない!だってこの想定。確実にオレの死亡フラグだからね。うっかりバレたら彼女らに先ず殺されるのはオレだからね。確定事項だからね!


 しかも困ったことにピクリとも身体が動きやしねえ。このままだとオレ、海の水に引かれて溺れて沈んで死ぬんじゃね?ひどい!そんなことってありえなーい!!


 いや待てよ?もしかしたらこのまま海を漂って、いつの間にか本州まで辿り着けるんじゃね?うん。きっとそうなる!寧ろ本州の方がオレの為に波を掻き分けてやって来るんじゃね?なら、それならそれでこのままでいいか。


 脳みそお気楽な上に、盛大に頭が悪いモモ太郎は、こんなネジが全部弾け飛んだ考えのもと波に揺蕩たゆたい、じっと本州がやって来るのを待ちわびていた。



 その時突然。


 

『ワァアァアア!!!ウリャァァアア!!!』



「えっ?!なになに??」

「なんだこの雄叫び声は、なんかあったのか?」

「さあ、なんやろねぇ~」


 う~む。鬼ヶ島の中央付近が何やら明るいな。まるで建物が燃えているような、そんな感じなんだが。はて?


 波に乗り、ドンドン岸から離れていく身体を起き上がらせるつもりは一切なくオレは、闇夜を照らす光の方をジッと眺めみる。


 金星って案外明るくないんだなぁ。


「なあ桃太郎はん、アレなんやろうなぁ!」


 いつの間にそばに寄って来たのか、ヒルナンダスが海の中に入ってオレの横に立ち妖艶な笑みを浮かべている。ついでにハチベエまでもが、まるでオレを盾にでもするかのように肩を力いっぱいに掴んで立たせ、背後に回っていたのだから堪らない。


 痛いって、マジで痛いって!コラ放しやがれ!!爪が肉に食い込んでるからやめてください!!あとオレはこのまま本州に行くんです!!


「あっ!なんで二人ともモモ太郎くんのとこに行ってるコン!あたしも混ぜてよー!」


 お前、【語尾にコン】付けはバカがバレるからいい加減やめろ。おっと、これは忠告な。


 とかなんとか、脳内で呟いたオレは、一所懸命で押さえていたズリ落ちかけの赤フンの、そのまた股間部分に収納してある香ばしいキビ団子と納品先未定の【男の最終兵器】を(かば)いつつ、なんとかかんとか体勢を整え直していたのだが、急にあろうことかタヌ子が全速力で抱きつく×【タックル○】をかましてきたので。。。


 

「「「「キャ―――――ッ!!!!」」」」


 と、モモ太郎を含めたアホパーティーはもんどり打って波間でひっくり返り、哀れにも盛大な波しぶきをブチ上げて浅い海底へと沈んでいったのだった。






ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました♪

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