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モモ太郎と鬼ヶ島。四話目。

四話目です♪


お楽しみくださいませ♪

「よかったねモモ太郎くん♪ごめんねヒルナンダスさん。痛かったかな?」

「ええんよ♪」


 ヒルナンダスはタヌ子ににっこり微笑みかける。


「気にするなタヌ子よ。悪いのはうちらを喰わすことも出来ない甲斐なしのモモ太郎の所為なんだからな」

「ちょっと待て!お前ら勝手にオレに付いてきてる分際で何言ってくれちゃってんの!?食いぶちくらい自分で稼げよ!!」

「「「などとモモ太郎は意味不明な供述をはじめ、いたいけな少女たちを使った【鬼ヶ島攻め攻め詐欺】を働いたことを否認しており、検察はろくに少女たちにご飯を与えなかった甲斐性なしのモモ太郎に死刑を求刑…」」」


 なんだろう。とっても泣きそうなんだけどオレ。あと死刑なんだオレ。。


 ガックリ肩を落とし項垂れたモモ太郎は、ふとある事を思い出しそうになる。


 うん?いやそれよりも。何かとんでもなく大事なことを忘れている気がするのはどうしてだろう。


 そう。パーティーの中で一番の馬鹿であるモモ太郎は、貝殻を抜いて欲しかった話をすっかり忘れていたのだった。


 あと、ココが鬼が大勢蠢うごめく鬼ヶ島の海岸である事も。


「なんかしようと思ってたんだが、忘れたからまあいいや。で、なんだっけか。ああ腹が減っているから食い物寄越せって話だったな?」

「うん」

「そうだ」

「正解やよ」


 コクン。と頷く少女妖怪たちは、頭の中身が腐ったアホでも可愛く見えてしまうんだから不思議だ。


「「「だ・か・ら。早くしてよ甲斐性みせて!甲斐性なし!!」」」

「いちいち声揃えんな!それと、甲斐性見せて欲しいのか見せて欲しくないのか、どっちなんだハッキリしろ!!!」


 ロクな働きもせず毎日毎日オレにたかるだけしか能がない癖に、マジで食い物くらい自分で何とかしろってんだ。


「「「それってモモ太郎の自己紹介???」」」

「ちがうわ!!!」


 くそっ!こいつら、言いたい放題言いやがって、マジムカつくわ!


「「「ふーん。そんなことより早くご飯ちょーだい!!!」」」

「わかったから!わかったから!!ちょっと待ってろ!!」


 まったく、これだから無能な奴らは嫌いなんだ。何かと云うと要求ばかりしてきやがって腹立つんじゃ!


「「「またも自己紹介乙ですか?」」」

「だから違うわ!!!」


 もうパーティー解散しようかな。オレは甲斐性無しでも無能でもないから一人で生きていけるし。


「なんでモモ太郎くんは、間違いなく地獄に行ったら直ぐに舌抜かれるような事を確信をもっていっちゃうの?」


 不思議そうにオレに聞くタヌ子の余りにも純粋すぎる目に、ちょっとだけ狼狽うろたえ後ずさりをしてしまう。


 が。


 なるほどな。タヌ子はオレのことを常日頃からそう思ってるんだな、よし覚えておこう。


 そうオレは、心の奥底に復讐の芽を植え込むことを忘れはしなかった。


「まあまあタヌ子よ、モモ太郎がそこまで言うんだから一旦は信用してみようぜ。で、うちらの飯はまだかねキモイデブ」


 くされハチドリがうるせぇーんだよ!だれがキモイデブだって?!ふざけんなよ畜生が!!お、お前なんかなぁー!!お前なんかそこらに生えてる草の花の蜜でも吸ってろ!それがお似合いだろ?生物学的に!!


 ブスッ!ブスブスッ!!


 ハチドリの妖怪であるハチベエさんの変化を解いたクチバシが、オレの頭皮にいわれのない打突を繰り返す。


 もうちょっと木津口じゃないとこ突っついてもらえませんかね。もしかしたら毛根復活するかもしれないマッサージになるかもしれないじゃない。


 頭皮からダラダラ鮮血も流しながらモモ太郎は、そう遠くない未来のフサフサに思いを馳せた。


 すいませんヒルナンダスさん。止血お願いできませんかね?



 

 閑話休題。

 



「あのな。よく聞けよ脳無し共。オレらは小舟に乗せられ鬼ヶ島くんだりまで連れて来られて遺棄されたんだぞ?そんなオレが食い物なんか持ってる訳がないだろう?」

「「「それはそうだけど、お腹が空いて力が出ないんだもん!!!」」」

「だ・か・ら!無理言われてもな。オレだって腹が減って……。ん?」


 身ぐるみそっくり剥ぎ取られたけれども、そういえばオレ一張羅いっちょうらのフンドシは履いたままだ。という事は【アレ】がまだ残ってる筈だよな。


「んんん?ナニナニ??」

「どうしたキモ太郎…おい、ちょっと待てそこはっ…!!」

「どないしはりましたん?…なんや嫌な予感がしますんやけど」


 オレが後ろを向きフンドシの股間付近をコソコソしだした途端、アホのタヌ子以外の二人がざわつき始めた。


「あったあった、はい。モモ太郎と云えばのキビ団子♪」

「「「ヴィヤァアァアアァアア!!!」」」


 オレが非常食として大切に保管していたキビ団子を見た瞬間。どうした訳だか彼女らが引き潮みたいに一斉に海の中まで後ずさって逃げた。


「なんだよ…。お前らが待ちに待っていた食料だぞ?ほら喰えよ、そらそらさあさあ」


「うわわわわわわっわ!寄るな!チ○毛ついてるから!めっさちぢれ毛ついてから!」

「カビで抹茶色の化け物や、アカンて、ほんまアカンて!! ヴヴワアァアア!!」

「キビ団子怖い!キビ団子怖い!キビ団子怖い!キビ団子怖い!キビ団子怖い!キビ団子怖い!!」


 どうしたどうしたお前ら。こんなに美味いのにもったいない。もちゃもちゃ。


「「「喰うなバカぁーーーー!!!」」」


 ガッコン!!!


 三バカ妖怪たちに一斉にしばかれたオレの世界は、ぐるっと暗転した。






ここまで飽きもせずお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます♪

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