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モモ太郎と鬼ヶ島。二話目。

人間の屑。モモ太郎と三バカ妖怪たちの鬼ヶ島。二話目です♪


お楽しみくださいませ♪


「モモ太郎くん、モモ太郎くん。なにしてんの?頭大丈夫?」

「モモ太郎はん、手なんか合わせてみっともない。頭悪くてできもしない悟りでも開くんか?」

「モモ太郎よ、お前ホントなにしてんの?いつも以上にバカなの?死ねよ。そして盛大に成仏しろよ」

「バカとはなんじゃあ!死ねとはなんじゃあ~!!バカって死ねっていう奴が、心の底から死に(さら)して成仏しろやぁー!!!」


 モモ太郎は縛られた手足の不自由を物ともせず、鳥に狙われた芋虫が威嚇する様にむくりと立ち上がって、少女らにありったけの罵声を浴びせかけた。


 アレ?


「…水、ほとんどない」


なんでなのん?


 オレは不審に思ったがなんてことはない。ここは波打ち際だったのだ。ヤレヤレ、まだ死なずに済んだか。なんやかんや言っても流石は勇者様のオレ。無駄についてるな!


「「「いやだから、バカなの?・頭悪い・成仏しろ。って聞いたんだけど」」」

「もしもし?その口の悪さからココが浅瀬だって理解すんの、無理じゃありませんこと?」


 とか言って、あとはタヌ子たちの言葉をガン無視していたら、そこに海辺を離れていく小舟から声が掛った。なんだクソ船頭が、神に心底愛されたオレ様に何の用があるってんだ!


「おーい、歴史に残るアホども聞こえるか!聞こえていたら返事しろ!」


「うっせーな!なんだよアホ船頭!!」


「あのなァ。お前らアホで全然気付いていないようだから教えといてやるなぁ!お前らの手足を縛っている縄な、実はそれぐるぐる巻きにしてるだけだから、速攻解ける代物だぞ!!」


「あっ!モモ太郎くん本当だよ♪」

「身体ひねったらスルって解けたぞ」

「船頭はん云わはる通り、単に縄巻き付けてただけやんね、これ」

「くそー!オレたちめっちゃアホやん!!」


 地団駄を踏み悔しがる俺だけを尻目に、少女形態の三バカ妖怪たちは自由の身になったことを喜び、波打ち際で水を蹴り楽しそうに遊んでいた。


 くそが。


「おう!(ほど)けたか!良かったな《爆笑》あとなぁ!ドアホのモモ太郎の旗印《日本一》の文字も、お前らにこそ相応しい感じに変えさせてもらったからなぁ!んじゃ、鬼に気を付けて達者でな。アディオス♪」


 小舟の船尾に片足をかけ、カッコよく頭の悪いオレたちを憐れみを(もっ)て見送った船頭と漕ぎ手の三人組は、こっちを指差してバカ笑いしながら暗闇の海に消えて行った。


「おわった。なんか色々と終わっちゃったなぁ……」


 浅い海に膝を付き、オレはオイオイ涙を流して途方に暮れ悔恨(かいこん)する。


 こんな事ならもっと巧く手際よく村人を騙したらよかった。


 そうオレが悔い改めてしまうのも無理はないよな。そう思わないか読者のみんな??


「これというのも大体お前らがな、後先考えずにオレのすんばらしい作戦を無視して、毎度毎度適当にことを進めすぎるのがいけないんだよ!」


 そう、そうだよ!こいつらが鬼退治を請け負って船頭の村にやって来たっていう噓八百の言葉をすっかりを忘れて、毎日毎日酒と魚料理にうつつを抜かした挙句、泥酔して寝言で本当のことをしゃべっちまったのが全ての元凶なんだよ!そう、オレは悪くない。全部お前らが悪いんだ!!


「「「それはコッチのセリフだよ!この《日本一のアホ》太郎さん!!!」」」

「ああん!?誰が日本一のアホだゴルァ!!」

「「「だってほら、あんたの旗にそう書かれてあるし」」」

「ふへ?あっ、ホントだ」


 先の尖った貝殻をオレの頭部目掛けてぶつけながら、しこたま悪態をつく彼女らが指差したのは、船頭らに書き換えられたオレ御自慢の旗指物(はたさしもの)


「くそがぁあああ!!あの人たち何てコトしてくれてんのよォオオオ!!」


 通りすがりの民家にあったフンドシと竹竿と筆と墨を《一時お借りして》作った。『日ノ本一』の旗指物が、『日ノ本一番の大バカ』にすっかり書き換えられていたのだった。


しかも腹立たしいことに。オレが作った物より出来も造りもよく、文字も達筆で墨ではなく(うるし)で書かれてるから海水でも滲んみも消えもしないんだから始末が悪い。


 ああ、オレが一体全体何をしたっていうんだ。兎角世の中は理不尽すぎる。


 夜空に輝く満月を眺め見ながら、波打ち際で海老反りになって吐露するオレを誰が責められようか。


 なあ、そうだろう?



ここまでお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m

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