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モモ太郎と鬼ヶ島。十話目。

続きになります♪


ご堪能下さいませ♪

「あのこれ、お宝のお礼にどうぞ♪」

「「私たちからのプレゼントです♪♪」」

『ぷれぜんと、ですか?』

「「「はい♪♪♪」」」


 眩しいばかりに清らかな笑顔を見せ、三人の美少女妖怪は若武者に小さな袋を手渡した。


『若!左様気安く受けとってはなりませぬ!』

『左様、何が仕込まれているか分かった物ではありません!』

『此の者共、某は未だ信用が置けませぬこと、よもやお忘れではございますまい!』

「「「そんな!!ひどいよう!!あんまりや!!ブーブーブー!!!」」」


 若武者に注意を施す三神獣の態度に、三匹の馬鹿どもは抗議する。


『まあ皆お待ちなさい。お嬢さま方、ひとつ御聞きしてもよろしいですか?』

「「「はい!なんでも聞いてください!イケメンで気前がいいお侍さん!!!」」」


 こう云うなりアホたちは、ワープでもしたのか一瞬で桃太郎の足元に現れ媚びを売り、その見た目は美少女たちの爛々と輝く目と、若武者への喰いつき具合に当の桃太郎はたじろいだ。


『あ、あの。そんなに傍に寄らなくても返事は聞こえますから、ですので少し離れて頂けると助かります』

「「「いやん♪御免あそばせ♪♪♪」」」


 こう云ったが早いがアホの少女妖怪どもは、さささっと数歩分。まるで特殊訓練を施された兵士の如く瞬時に退いていく。


『そこまで一瞬で引かれてはいくら私でもビビります。。それと、何故だかわかりませんが少し私の心も傷つきます。。』

「「「じゃ、いっそイケメン若様に抱きつきましょうか???」」」

『な、なんでですかその行動は!?…えっと遠慮致します。それと、で、ですね。御話の続きなんですがお嬢さま方…』

「「「いやん♪お嬢さまなんて言われたら恥ずかしい♪♪♪」」」

『う、うう…。何でしょうか、彼女らスッゴク話しづらいですね…』


 でしょうね。


 今だ砂浜に(うずくま)り、手にしているガマガエル文鎮と何時しか心を交わし始めていたオレは、その文鎮くんとともに「うん。うん」と頷き同意していた。

 

 ううっと、三バカ妖怪の頭の悪い行動に若武者が、思わず苦渋の表情を見せて頭を抱えた。そしてこの様子に堪りかねたのか、犬の神獣が彼らの会話を遮るように船の艫から若武者と三バカの間に降り立ちこう述べた。


『娘らよ。我が主が困っておるではないか、いい加減に致せ』

「「「え、でも…」」」

『でもではない。それよりも、その袋の中身はなんなのじゃ?』

「あっ!もしかして、あたしたちの感謝の品を御疑いになってるんですか???」

『そうではない。我らは小なりと云えども名誉ある武士団。(あるじ)を気遣うのも御役目である。そのこと努々(ゆめゆめ)御疑(おうたが)い召さるな。よいな』


 余りにも理路整然とした犬の物言いに、あううっと、先ずはとっても頭の弱いタヌ子が気圧(けお)される。


「ねえ、ハチベエちゃんヒルナンダスさん。この人の言ってることがあたしには解らないよ?あのひとちゃんと日本語しゃべってるのかな?」


 やっぱりタヌ子は犬っころ=陸将殿の言葉が、まごうことなき日本語である事すらも理解できてなかったらしい。


「あのそれ草キビ団子ってものなんで、皆さまに食べて頂こうと思って渡したんだけど、それでもダメかい?ええ、ダメなのかい??」


 今度はハチベエが物言いを入れ食い下がった。


『左様に突っかかる様な物言いをいたすな』

「突っかかる様な言い方してきたのはそっちだろうが」

『そこまでに為されませ。二人とも見ていて恥ずかしいんやわ』


 ぐぬぬ。睨み合うハチドリと犬の間に割って入ったのがチイスウタロカである。


「ちょいとあんさん。違はりますよ」

「間違えました。ヒルナンダス様です」

「よろしいおすえ」≪ちっ、これを口実に血吸うたろかって思うたのに残念やわぁ≫


 あのヒルナンダスさん?心の声が駄々洩れなんですが、それは…。


「ああん!?」


 ものっそい形相で睨んで来た山蛭やまひるの妖怪に、オレはただ「すんません。なんでもないです…」と謝罪するしかなくなった。


『悪かったな山蛭の娘よ。だが申し訳ないがこちらの言い分も奉公人の(さが)故と理解してもらいたい』


 この犬っころ。オレとチイスタロカとのやり取りはムシですか?


「ええ、それはわかりましたえ。それで私たちにどうせよと申されますのやろか?」

『物分かりが良くて助かる。見目麗しいお主らの事ゆえ、万一にもありはしないとは思うが、差し出した草キビ団子なるものに毒なぞ入ってはおるまいと我らも信じたい。それ故、できれば一つ其方らの内だれかに食してもらう訳にはいかまいか。どうじゃ?』



「わかりましたわ」


 そういうとヒルナンダスは袋を受け取るため若武者の傍により、ついでに≪コツン≫と、犬の鼻を小突いた。


『何をする!』

「ちょっとした悪戯ですわ」

『可愛い娘子の戯れであろう。陸将よ、左様目くじらを立てるでない』

「しかし…。か、畏まりました」


 陸将こと犬っころは、刀の柄を右手で掴み今にも切りかかりそうな勢いだったが、若武者の一言で嫌々ながら刀から手を放して傍に控えた。


 これを見たヒルナンダスは「ふふん♪」とにっこり笑い。若武者に一礼してから袋を受け取って、その中に手を突っ込んだのだった。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

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