始
「『静止の蛇睨み』…終わりだ…単なる増強、加速系じゃ俺には勝てないさ。」
そう告げ、全く動かなくなっ青年の胸の鳩尾辺りに短刀を突き刺した。青年は傷口から血を吹き、地に伏す。青年の全身から青い『何か』がでてき、次第に短刀を刺した人に吸収されていく…
1創朔夢叶には特徴が一つある。殆どの人と目を合わせて喋れないという、ただのコミュ障というのは除いて、だ。
それは『歴史の創造力』だ。『歴史の創造力』とは、夢叶が頭の中でイメージでき、この世にある物を紀元後からその物ができた年代の1000分の1秒で創り出すことが出来る。(例えば西暦1500年にできた物を欲しいと夢叶が思うと、1500の1000分の1の1.5秒で創り出せる。紀元前に既にあったものはノータイムでだせる。)という、摩訶不可思議な能力を持ってるいることだ。
夢叶がこの能力について知っていることは、
何故夢叶がこの能力を持っているのかは分からないが他にも謎の能力を持ってる人がいる。
他人が持っている能力を奪うことができる。
全ての能力を手にすると『理を変える』を手に出来る。
この3つの情報は能力を得た人は全員勝手に頭に入っているらしい。
夢叶は今何をしているかと言うと…
路地裏的な場所にただのチンピラ3人に絡まれていた。
「お前、金出せよ!出さんかったらどーなるか分かっとんのか!?あぁ!?」
そのチンピラは関西弁でまくしたてる。
「あ、あの…学校の…帰り道なので…お金…持ってないです…。ひぃぃぃ!」夢叶は必死に喋るがチンピラを見るだけ竦めあがった。
「金が無いやとー!?なら家から持ってこいや!お前が持ってへんのなら親からパクれやぁ!」他のやつも言ってきた。
「流石に…それは…ダメです…知らない人に…お金も…あげれま…せん。」
「あー、そーか。なら…仕方ないなぁ?お前ら、こいつしめて、『知ってる人』にしてもらおうか?」一人が殴りかかってきた。
ストレートのパンチが腹にめり込み、夢叶は少し下の水路に落ちる。チンピラ2人も水路に降りてきた。
夢叶は腰を抜かし水に浸った。
チンピラの1人がズボンと服の袖を濡らし夢叶の胸ぐらを掴む。
「ふー。さ、お前の『知ってる人』になったか?」
その時夢叶の目尻には涙が浮かんでいたが恐怖が消え憤りが宿った。
「僕の名前すら…知らない人が!僕の!『知ってる人』なんかになるか!『歴史の創造力』…スタンガン!」
夢叶の右手が光り、その手にはスタンガンが握られていた。
夢叶はチンピラの手を解き、水路から足を出す。チンピラ達が戸惑っているうちにスタンガンのスイッチを押し、水路に投げた。
水を伝わり2人に電気が流れ、気を失った。
「アアアアアアアアアアアアッ!」
叫び声が聞こえた刹那上にいたはずのもう1人のチンピラが夢叶のところにぶっ飛んできた。
「力也…くん、ありがとう……ございます。」
夢叶が力也という人に言う。
「おい、くんはやめろよ、ございまず、も。タメなんだしよ。」
この男は叫響力也。
夢叶の数少ない友達であり、夢叶の通う学校で先生達から腫れ物扱いの人であり、学校の人々が嫌っている。そして、夢叶同じ、能力者だ。
「あ、えと、力也………ありがとう。」
夢叶がボソッと言うと力也はニッコリと笑って
「どーいたしまーして!てことで、どっか行くか?」
夢叶は苦笑いしながら指摘した。
「服濡れちゃったし、まず僕も力也も制服だよ?」
「あ…忘れてた。まず帰らなな!」と力也が言い2人で日が照る遊歩道を歩いた。
そして、少し歩き、力也がふと路地をみた。
そこには自分たち程度の年齢ぽい少女が倒れていた。力也は目を丸くし言った。
「女の子が倒れとるぞ!夢叶っ!」
夢叶も驚き言った。
「どーしたんだろう?とにかく助けよう。怪我はなさそうだね。」
夢叶が女の子を座らした。
「意識はあるんかな…?起こしてみるか。」力也が言い、ペシペシと、頬を緩く数回叩いた。
「ん…ここは…?あなた達は…?」その女の子は言った。夢叶は驚きながらも喋りかけた。
「君の名前はなんていうの?なんでこんな所に?」
「名前は…獣輝沙音。何でここにいるんだろう…あ…!」獣輝沙音と名乗る女の子はいきなり震えだした…
「あの…蛇…私の能力を!」
夢叶と力也は目を合わせ驚いた。
「能力だと…?どーゆーことや!君!」力也が早口で尋ねる。
「私の…私の能力…能力のことを知ってるなんて…君たちもなの?」沙音が尋ね返す。
「そやで、2人とも持っとる。おれは叫響力也。こっちは創朔夢叶。こいつは要は『モノづくり』の力。おれはまー白狼の雄叫びって力や。君は?」力也が言った。
「私の持ってた力は奮迅の獅子。身体の一部を強靱な身体に変えれるの。単純な増強と加速…それだけ。」沙音の声が小さくなる。
「…増強と加速てどのくらいか知らないけどかなり凄いのでは?」夢叶が何故か敬語で俯き加減に話した。力也もそーやな。と言った。
「確かにこの世の中なら負けないくらいの力かも知れない…けど、蛇には勝てなかった。
あの睨み…身体が竦んだ…
そしたら凄い痛みと共に意識を失った…そして目が覚めたら能力が無くなってたの。なんでなんかな…」沙音はとても落ち込んでいる。
「あのさ!沙音さん?はどこに住んでるの?家は?」夢叶が聞く。
「私は家なんて無い…公園とかで生きてる。服も拾ったもの。」沙音の言葉に再び2人とも唖然とした。
「…ホ、ホームレス?…には見えないくらいキレイ…汚れとかが…」力也が疑問を口にした。
「…ん…ホントだ。キレイな腕…になってる…何で…?」沙音本人も驚いている。
「能力が無くなってるのと関連するのかな。」
夢叶が考えている。
「兎に角さ、飯とか持ってくるわ!家に入れるのは流石にヤバいから…」と言い、力也は立ち上がった。
「えと、獣輝…沙音さん立てる?」
夢叶が沙音に手を伸ばす。
「ありがとう。力也くん!私は戻りたいから…帰りたいから…ご飯はいらない…」
沙音は細い指で夢叶の手を握り立ち上がった。
弱々しながらも強がる沙音の声に力也も声が詰まった。
「なら、近くまで送ってくか!夢叶!チャリ三つ!」力也が夢叶に言う。
「いや、そんな能力の使い方はダメでしょ。」
夢叶は言い返した。
「いや、沙音に能力見せとこーや」力也が説き伏せようとする。
「いやいや、自転車三つはしんどいし、沙音さん自転車乗れるの!?」夢叶も必死で抵抗する。
「私乗れるよ…てか、移動手段は自転車やもん。」沙音のダメ押しが来て、夢叶は諦めた。
「分かったよ……三つは疲れるな『歴史の創造力』!自転車!三つ!」夢叶の両手が光に包まれその光が徐々に自転車を象っていく。