8.孤独のグルメ(朝マック)
朝のお別れは最悪だった。
アラームとともに起きるニート君と俺。
『にゅーーーーーー・・・・・ん』
なんて悲しそうな鳴き声なんだ。
ニート君は既に分かっている、じきに俺がいなくなることを。
おそらくニート君は天才に違いない。
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昨夜は、妹に風呂場に拉致られ、俺との至福の時を奪われた。
あいつを召喚したことを後悔してもしきれない。
あいつは、、、
あいつは!!!
水鉄砲とアヒルのおもちゃで、純真無垢なニート君を誘惑した!!!!!
風呂場から聞こえる
『にゅっ!!!!にゅーーーーーーーーん♪♪♪』
というニート君の悲鳴が、無力な俺の耳と心を痛めた。
その後、部屋の方から『にーーにーーーー!!』と、ポカリバケツで遊ぶニート君の声を聞きながら、
たった独り、涙をシャワーで流した。
水遊び道具か・・・
負けてられるかっ!!!!
深夜、ぐっすりと眠るニート君を抱きかかえたまま、俺は Amazon という名の密林を徘徊した。
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さて、心細そうにポカリバケツの中から俺を見ているニート君の為に朝メシを用意しよう。
俺は台所に立ち、目玉焼きを焼き始めた。
「・・・・!ちょっとうるさい。眠れないんだけど!!!
あっ!!ニート君はや〜い、おーーはーーー!」
『ににゅっ!』
あのクソ。
「お前の分はない。寝てろ。」
「あたし朝ごはん食べない派だし。いらねー。
ねぇねぇっ!ニート君一緒に2度寝しよっ☆」
「おまっ!!!あっニート君はやく逃げて!!!」
『にっにゅーんーーにゅーーーーんーーーー!!・・♪♪』
ニート君は華麗にポカリバケツからジャンプして外に出るとトテトテと俺の方に向かってきた。
すかさず拾い上げる。
「ちょっと!さっさと会社いけよ、クソ社畜!」
「ニート君、怖かったねぇぇぇ!大丈夫だからねぇぇぇ!」
『にゅーーーーーーーん♪』
「・・・あのさ、マジで時間やばくない?」
時計を見ると、6時45分。
おかしい。さっきまで6時だったのに。
・・・楽しい時、幸せな時はすぐに過ぎ去ってゆく。無常である。
ちなみにまだ着替えていない。。。
「・・・・くそっ!」
光速で支度を終え、ニート君を強く抱きしめてから、家を出た。
ドアの向こう側から、ニート君の慟哭が聞こえる。
振り切る思いで駅まで走り、電車に乗った。
スマホを取り出すと、ラインが来ていた。
『ざまぁ(^^)
あっご飯代わりにいただいときまーす。これがホントのメシウマwってね』
絶対にゆるさない。
主人公はこの後一人で朝マックに行きました。