7.召喚
明日の朝の事を考えると気が重い。
朝の別れの儀式は身を引きちぎられる思いだ。
悩んだあげく、妹を召喚することにした。
ニート君をひざに寝かせつつ、妹に電話する。
『・・・・何?』
「あのさ、明日の日中クリオネの面倒みて欲しいんだけど。」
『は?別にいいけど。てかクリオネ飼ってんの?!』
「最近な。あ、朝から来てほしい。お前ニートだから余裕だろ。」
俺の妹はガチニートである。
『朝って・・・私、寝てんだけど普通。。まぁクリオネいるんじゃ仕方ないか。何時?』
「7時には家出るからその前には来て。」
『・・・・うぉーーーけい。』
よし、クズニートもたまには役にたつな。
2時間後、妹があらわれた。
「早すぎじゃね?」
「朝は起きられんもん。クリオネは?」
妹はポカリといろはす(なし味)の入ったコンビニの袋を持っていた。
なんてこった。
「おまっ!!いろはすは明日の夜だ。明日俺が帰るまでポカリだけにしとけよ!」
「は?意味わからんし。あっ!かーーーわーーーうぃーーー!!」
妹は俺の足元にくっついてるニート君をめざとくみつけ即座に捕まえた。
『に?っにーーーー!!!』
おびえておる。
不安そうに俺を見て、助けを求めている!
「おい、やめろよ。怖がってるだろ!」
ついでに奴が玄関に放り出したコンビニ袋からいろはす(なし味)を回収し、台所の上の棚にしまった。
「大丈夫だって。ほらクリオネちゃーん。可愛くて綺麗なねぇねがきたよーー♪
あ!ノリオ!さきいか買ってきたから取って!」
さきいかだと?!
クズニートのくせに、いいチョイスじゃねーか。
「だめだ。さっきメシ食ったから。明日だ明日。」
そう簡単に餌付けさせるか。
「おい、ニート君がおびえてるだろ。早く離せ。」
「はぁ!?『ニート君』なんて名前にしたの?!ありえない。虐待!」
「ニーニー言うからいいんだよ。分かりやすくて!」
妹から力ずくでニート君を取り戻すと、抱き上げて高い高いしてやった。
『にゅーーーーーーん』
俺に取り戻されて、ニート君も少し安心した顔をしている。
ニート君の俺への懐きっぷりをまざまざと見せつけられ、妹もやっとおとなしくなった。
能面のような表情でじっと俺とニート君の戯れを見ている。
「明日、、、見てろよ。。。クソ社畜が。。。」
不吉な言葉を吐きやがった。
明日、会社行きたくないな。
・・・・
翌朝、身を引きちぎられる思いは今まで以上だった。