4.夜の散歩は太りやすい
食事を終えると、俺は日課のランニングの準備を始めた。
今日も昨日の公園に行くつもりだ。
クリオネをバスタオルでくるんでやり、チャリのカゴに入れる。
ペダルを漕ぎ出すと、キョロキョロして喜んでいるようだ。
『にーーーー!!』
風も気持ちが良い。
「そういえば、お前がいると抱えながら走らんといけないな。」
すっかり頭になかった。
仕方がない。
「このままサイクリングにするか。」
『にー?』
ひとまず目的の公園を目指す。
『にーーにーーー』
こやつ、ごきげんであるな。
飲み物を持って来るのを忘れたので途中でコンビニに寄る。
チャリを止めてタオルに包んだままクリオネを抱き抱えて店に入る。
ポカリとお茶を取ってレジに向かった。
『にー!!にーー?』
クリオネが暴れておる。
「どうした?」
必死なほどの身振り手振りから察するに、レジ横の焼き鳥やらが気になるらしい。
「まったく、、、どれがいいんだ?」
ガラスケースに近づけて良く見える様にして、一つ一つ確認した結果、
店員にポテトとフランクフルトを注文した。
「可愛いですね、クリオネ。私も好きなんですよ。」
店員さんがニコニコと飲み物とは別に袋に入れ、俺に抱えられながら手を伸ばしているクリオネに直接渡してくれた。
「や、ありがとうございます。おい、落とさないように気をつけろよ」
「にーーー♪」
上機嫌だが、 これは落とす可能性大だ。
仕方ないのでイートインコーナーに座り、膝の上にクリオネを乗っけてから食べさせてやった。
「・・・むにゅっ!!!!!」
分かった分かった、旨いんだな。
にゅーにゅーいいながらガツガツ食ってやがる。
あっという間になくなった。
「さて行くか。」
ゴミを片付けて店を出ようとすると、さっきの店員さんが小走りに寄ってきた。
「あのっ!これクリオネちゃんにあげてください。」
ファンタグレープとアンパンマンチョコだ。
「やっ!悪いです。いただけませんよ。あっお支払いします!」
見知らぬ人に物を頂くなんてとんでもない。
早速手を伸ばしてジュースと菓子を受け取ろうとするクリオネを引きはなしながら、財布を出そうとすると、
「いえ、私も昔クリオネを飼ってた事があるんですよ。だから懐かしくて・・・」
そうだったのか。
「そういうことでしたら、、ありがたく頂きます。ほらっお礼しなさい」
『に?』
『にーー!!』
・・・・なんだか和んでしまったな。
もう今日は帰るとするか。。