3.帰宅
仕事を早めに切り上げて、19時に家に帰った。
俺がドアを開けて部屋に入ると、クリオネが俺に飛びついてきた。
『にーーーーーーーーにーーーーーーーー!!!!』
目に涙を溜めて俺の足にしがみつく。
よほど心細かったかのだろう。
悪い事をしたな、と罪悪感がつのる。
俺は土産で買ったポカリに加えてアクエリアスをテーブルの上に置いた。
ポカリに気づいたクリオネは俺にしがみつきながらもテーブルをチラチラと見ている。
「ちょっと待ってな。」
朝、ポカリを入れておいたバケツを見てみる。
空っぽだ。
「良かった。ちゃんと飲んだんだな。」
バケツを持ち上げると、床に俺のつまみ用の柿ピーの残骸があった。
「お前、これ食ったの?」
『にーーーーー!!!!』
クリオネはまるで『それも結構いけたぜ』って感じでドヤった。
「食ったんだな!」
俺のつまみ!!!
食い物の怒り!!!!
俺はクリオネを持ち上げグルグルと高速回転した。
『にーーーーーーーー♪にーーーーーーーー♪』
断末魔のような悲鳴だ。
「どうだ、思い知ったか!」
自分のしでかした過ちを身をもって知らせるには恐怖を与えるしかないからな。
俺は心を鬼にして罰を与えることにした。
しばらくの高速回転の後、床に降ろしてやると、目が回ったようでくるくると一人で回って転がった。
反省したようだな。
「よし、メシにするか。」
台所でバケツをさっとゆすぐと、今日は新しくアクエリアスの方を注いでみた。
俺は缶ビールを空け、つまみの柿ピーを新しく持ってきた。
おっと、そういえばこいつは水だけじゃなく柿ピーも食べるんだったな。
俺はクリオネの分の柿ピーも取りに行った。
アクエリアスも好評のようだった。
明日はアクエリアスレモンも買ってこよう。