一対一
「そういえばよくわからん話が飛び交ってたんだが、デュエルとか、配信とか、チームとかって、何のことなんだよ?」
午後の授業も終わり、掃除の時間。ふと気になった大雅は、隣で箒をもっている美咲に問いかけた。
「ん?あぁ、えっとね、デュエルっていうのはその名の通り、一対一で戦うルールのこと。篭手から近くにいる相手にデュエルを申し込んで、相手が承諾したら、デュエルが承認されるの。デュエルが承認されている間は、他の人からの攻撃を受けてもポイントは減らないらしいね。あ、ちなみにさっきのデュエル申し込み内容は❮四時から三十分間のデュエルマッチ❯みたい。時間が過ぎたらデュエルは終わって、他の人からの攻撃もダメージになるみたい」
箒で適当に床を掃きながら美咲が答える。目付きは先ほどのように鋭くなく、穏やかな表情だ。
「配信っていうのはデュエルマッチだけ、学校中の篭手に戦闘映像を配信できるみたい。私もよくわかんないけど。チームについては、また今度でいいや。机運ぼ」
箒を大雅に押し付けて机の方へ歩き始める美咲。その後ろ姿は落ち着いているように見えるが、内側から何かが溢れ出しているようにも見えた。
「おっ、きたきた!待っとったで、美咲」
放課後。広い階段の踊り場に美咲が行くと、そこには既に仁がいた。美咲を見るや顔をニヤつかせて、手の骨をパキパキと鳴らす。
「いやー、絶対に受けてくれる思っとったし逃げへんとも思っとったけどやっぱあれやな、安心するってゆーか、嬉しいよね!」
「話長いよ、もうデュエルの時間になるでしょ?ほら......」
ニヤついた表情のまま喋り倒す仁を遮り、魔法剣、爆炎の魂を取り出す美咲。そしてお互いの篭手が、デュエル開始の合図となる音を響かせた。
「行くよっ!!」
美咲の目付きが変わり、鋭い踏み込みで仁に接近する。そのまま流れるような動きで剣を横なぎに振り抜いた。
しかし、仁もそれを予測していたのか、すぐさまバックステップをとり、小型の魔法陣を多数作り出す。魔法陣から飛び出す多量の弾丸。美咲はすぐさま横に飛び、回り込んでの接近を図る。それを見た仁は階段を駆け上り、振り向きざまに紫色の魔法陣を展開した。
「そぉら!」
紫色の魔法陣からは、さっきの弾丸よりもかなり大きい弾が二発、飛んでいった。一発は美咲の進路を、二発目は手すりに向かって飛んでいく。
美咲を狙う弾はジャンプでかわし、手すりを狙った弾は無視し、美咲も階段を昇ろうとする。
しかしその時、手すりに着弾した弾が弾け飛んだ。紫色の光を撒き散らしながら弾けた弾は、縦横無尽に飛び回る。
「なっ...!?」
すぐさま正面を防護式の魔法陣で守る美咲。しかし、紫色の光に視界を奪われ、仁が接近していることに気が付かなかった。
「もらい!」
仁の回し蹴りが、美咲の腹部に命中。美咲は上がりかけの階段を転げ落ちた。
こいつ、強いぞ。美咲はそう確信し、目の奥をギラつかせるのだった。
亀投稿。速くしたいんですが。
頑張ります。