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天ノ都  作者: ありあ
3/8

爆炎の魂

 新入生初の放課後戦争開始の合図があってから約五分。普通の学校よりもかなり大きい廊下は既に主戦場と化していた。

 走り回る新入生は、時に各々の魔法を使い、時に魔力を体に循環させることによる身体能力の上昇を使った格闘術を使い、ポイントを競っていた。

 当然、魔力を全く持たない大雅には魔法を使うことも、身体能力を上昇させることも出来ない。大雅に出来ることは、逃げることと、己の身体能力と格闘術のみで戦うことだけだ。しかし、当然ながら魔力を持った人間とは身体能力すら圧倒的に劣ってしまうため、大雅は逃げることだけを考えていた。

 しかし、そんな大雅に協力を申し出た生徒がいた。魔法実戦試験で断トツの一位の実力と言われる、青葉美咲だ。大雅はこの少女の真意は全く解らなかったが、そんな実力者が味方になってくれることはかなり大きかった。

 「赤城君、走るよ!」

 美咲に連れられ広い廊下を走り抜け、階段を駆け上がる。今日の戦闘演習は一年のみで行うらしく、上の階層には人が少ないと考えての行動だ。

 しかし、その考えは甘かった。上の階層の廊下も、下の階層と同じように主戦場となっている。

 「おい、あいつじゃねえのか!?青葉美咲って奴!」

 「一回手合わせしてみたかったんだよ、一位の実力者!」

 すぐさま数人が気付き、標的を一斉に美咲へと変更する。美咲は手で大雅に下がるように、と合図を送り、目の前に赤色の魔法陣を展開した。

 「悪いけどあんまりうだうだと戦うの、嫌いなんだ。みんな一斉にかかってきて」

 美咲の魔法陣が強く光り、彼女の目付きが変わる。少し優しそうな目から、戦士の目へ。

 魔法陣に右手を突っ込み、思い切り引き抜く。すると美咲の手には、赤い刀身を持つ、綺麗な剣が握られていた。

 「武具召喚、『爆炎の魂』」

 赤い魔法剣はゆらゆらと陽炎を纏い、その刀身が揺らいで見える。その美しくも禍々しい剣を見て、美咲に手合わせを吹っかけた生徒達の足が竦んだ。

 その一瞬の躊躇の瞬間、美咲は地面を蹴り、一人に急接近をする。剣を振り抜き、ポイントの八割程を持っていき、空いている左手で驚いている二人の方へ魔法陣を作った。斬撃を受けて仰け反っている男を蹴り飛ばしながら魔法を放つ。何本もの光の矢が二人を襲い、更に一気に接近し、剣を振る。女の腹部に命中し、その女のポイントはゼロに。呆気にとられる男を剣の持ち手で殴り、魔法陣を生成。その魔法陣に向かって剣を突き出した。すると、ゴオオオ、という凄まじい音と共に、巨大な炎の斬撃の弾が飛んでいった。一気にポイントを削り取る。

 手合わせを吹っかけた三人の生徒は、魔法すら使う暇もなく、美咲に敗北した。

 「赤城君、こっち」

 大雅はその戦いを見て感じた。今の戦い、魔法、戦闘センス、どれも青葉の方が上だったが、もっと圧倒的な勝敗要因は別にある。

 敵を確実に倒す為の先を考える力と、実戦経験の差だと。

最早月一ですらないですね。

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