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母は強し


「よし分かった。母さんも行くよ」

「え」

「何だい?クリスまさかあんた、母さんを置いて行こうとしていたんじゃないだろうね?!あんた自分が10歳の女の子だってこと忘れてやしないかい?!」

「え、あ、う、うん…」

「何だい今の返事は?!」




走馬灯って結構細かいところまで出てくるもんですね。多分、脳が印象的だった部分を抜き出しているとは思うけど。

これは私が本当に久しぶりに母に怒られたところだ。


何についてかというと、王都行きについて。




一人で思いつく限りの特訓を、寸暇を惜しんで行っていた一年も過ぎ、10歳になった。

この一年で私は、自分でいうのも何だけど、かなり色々なことができるようになっていた。自分で扱うことのできる魔力の量は増えなかったものの、その操作方法について相当の汎用性を見つけることができたのだ。



もちろんまだまだ一人前とは言えないのは分かっているけれど、村をある程度守る手だても思いついた。そろそろムウファや王子の足手まといにはならないのではないかなと思うことができたのと、ムウファからの手紙に、最近王子の近辺がかなりきな臭くなってきていると書いてあったため、母にムウファを追って王都に行きたいと正直に打ち明けたのだ。そして先ほどの冷たいオコトバである。





「あんたがムウファを追いたいのはよく分かった。その為に猛特訓してたのも知ってるよ。だから反対しようってんじゃない。分かるね?クリス」

「う、うん…」

「でもまさか、ここから王都までの道のりが、母さんが一緒だとしても村長に認められないくらい物騒なんだってことを知らないわけじゃないだろう?それに万が一あんた1人で王都に着けたとしても、そんな怪しいガキ入れて貰えないってこともさ?」

「ぐっ…」


そうなのだ。テンの村から王都までの道のりは、整備はされているものの、たまに魔物や盗賊が出たりする。

いくら自分で強くなったと思ったからと言って、10歳のましてや女児が、保護者も無しに王都に向かうなど聞いたことが無かったのだ。




「あんた、ムウファに行くって伝えてんのかい?もしかしてあっちで待っててもらってんのかい?」

「……言ってない」

「…………はぁぁぁぁぁ………。まさかあんたがそんなに恋に情熱的だとは思わなかったよ。そこんとこはあたしに似ちまったのかねぇ~」

「……え?!こ、恋って何…」

「故郷を捨ててまでムウファを追いかけて王都に行くなんてね……ふっふっふ、そんな一途な幼馴染をムウファがどう扱うのか見ものじゃないかい。楽しみだねぇ」

「……………(おおぅ…)」




まずい。非常にまずい。



そもそも母には、ルドルフ王子のことを含め、私とムウファが何をして、またこれから何をするつもりなのかも全く話していなかった。

朝方たびたび家を抜け出していたのは気付かれていたのだけれど、ムウファと遊んでいたと説明したらあっさりと納得してくれたのだ。その時は何も考えずホッとしていたけど、ここへきて母の誤解に気付いた。




違う。母さん、あれは子供たちのかわいい朝の逢瀬じゃないんだ。もっと重たくて暑苦しい部類のものだったんだ。

ああ分かってる。私の説明が足りなさすぎたせいなのだ。母さんを蚊帳の外に置いたままにしてしまったことがそもそもの原因なのだ。私は誰にでも説明するのを怠ってしまう癖があるし基本秘密主義なのだけど、そんなことは言い訳にならない、私が悪い。ああ、それにしたって何という誤解を!!



私は頭を抱えていた。



「そうと決まれば、母さんは全面的にクリスをバックアップするよぉ!村長の息子ったって気にすることないさ!愛情の前には身分なんて些細な障害なんだからねぇ!」



やばい!母さんが今まで見たことのないくらい輝いている。娘の初恋を叶えようとものすごく燃えている!

こうなってくると母さんは人の話を聞かない。とにかく自分の思う通りに突っ走ってしまう、かわいい人なのだ。




でも一言言わせてくれ!これは恋なんかじゃないんだよ!!!




母さんはそれからずっと、村長にどうやって許可をもらおうか、王都でどのように稼いで生きていくのか、そして私の女子力をいかに上げていくのかについて熱く語っていた。


私は早々に説得を諦めた。

第3王子であるルドルフ様にこれからも協力していくなら、必ず危険な目にあってしまうだろうから母は村に居てほしかったけど、こうなったら母は私が絶対に守ろう。

そして、できることならばこの王都への道すがら、母の誤解を全力で解くため話せる範囲で話してしまおう。こうなっては王子のことさえ詳細に話してしまった方が私の精神衛生上よっぽど良いわ!




そしてこの母との衝突から1か月の後。私と母、そして護衛として王都まで付き添ってくれることになった村長が連れだって村を出発することになったのだ。




そして、王都へ少し長く滞在する予定の上で村からの外出許可を取る際、母が村長に、いかに私がムウファを慕っているのか力説していた事は、私が墓場まで持っていくことにする。

村長が疑問符のついた顔でこちらを見つつ、


「嫁に来るなら歓迎しよう」


と言ったことも。




だから!違いますって!!!!




思いつくままに書き連ねてきましたが、もし読んでくださった方でここがなげーよとか、くどいよとか、言葉がたりねーよとかありましたら、教えていただければこの上なく嬉しいです。主人公の独白が多くて根暗に感じると思いますが、筆者の力量不足です。これから頑張りますのでまたお付き合いいただければ幸いです。

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