表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/40

幕間②


豪華な調度品に囲まれた部屋で、金髪の少年は、彼よりも年かさに見える青年と向き合っていた。

青年と少年は何となく雰囲気は似ているものの、色が全くもって違っていた。金髪の少年が華やかな色を纏うのに対し、青年は全体的に色素が薄い。銀の色を纏っているのである。


「…ふぅん、成程…うちの魔術師長がよだれを垂らして研究材料にしたがる素材だな」


顎に手を当てた青年は、面白そうな顔をしながらそう切り出した。



「彼女はそれを独学で成し遂げたのだろう?……ふぅん」

「……兄上、絶対あげませんからね?」

「まだ何も言っていないが?」

「顔がそう言っています。彼女はダメですよ。私の切り札ですからね!」


そう切り返す、自身にとっては大切な弟でもある少年に向かって、青年はさらに笑みをこぼした。



「くくっ…切り札なのか。ではしょうがないなぁ…。それならばルディ、お前の妃にでもするか?」


それだけの功績があれば、どこぞの伯爵の養女にするのも容易いぞ。と、にやにやと人の悪い顔をした青年は続ける。


「………」

「なんだ、その気がないわけでも無いのだな」

「…いや、そんなことを言ったら、ムウファが怒り狂うなと…」

「烈火の、か。ふぅむ…それは少々厄介かな…」

「ムウファも僕の大切な友人です。手出しは無用ですからね、兄上?!」

またも顎に手をあてて、思案顔になる青年に向かって、少年は少し焦った顔で釘を刺した。


「…ではルディ、お前自身で魅了してみせるということかな?」

「…いえ、それは」

「烈火のが大切にする女性を妃にできたならば、彼がこちらを裏切ることはこれから先万が一にもないだろう」

「…ムウファは裏切ったりしません」

「はは、若いなぁ我が弟は。良い、まずはお前の思う通りにやってみよ。私は何もしないことを約束する」

「本当ですね?約束してくださいよ?!」

「本当だとも、なんとも私は信用が無いな。……そうだな、あと3年の間にお前がどう布陣を固めるか、見てから決めることにしよう」

「…わかりました、必ず兄上の役に立つように力を蓄えてみせます」


強い瞳の少年を見て、青年は満足したようだった。


「では私はもう行こう。政務が残っている」

「お時間をいただきありがとうございます、兄上」

「良い。…最近ルイネイルの周りに動きがあったようだ」


その場には誰もいなかったが、それでも少し声のトーンを下げて、青年はそのように切り出した。



「…義母上ですね」

「おそらくはな。…隣国とつながっている可能性がある。これからさらに慎重に行動せよ。……くれぐれも気を付けるのだよ、ルディ」

「…ふふ、ありがとうございます。自由に動けない兄上の手足として、恥じないように立ち回るつもりですよ」


安心してくださいと笑う弟に、フ、とかすかに笑いかけ、今度こそ青年は颯爽と部屋を出て行った。



「……クリスを妃に、なんて言い出した瞬間に燃やされるな~僕……」


どうしようかな~と、笑顔のまま少し頭をかいて、少年もまた部屋を出ていく。

その姿を見ることができるのは、いつも彼らの影に潜むものだけであったのだ。





ここまでが一つ前からの流れのつもりだったのですが、幕間を入れないと色々回収しきれない^^;そしてタイトルセンスの無さ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ