表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/55

第50話

<アメリカ陸軍>

・カーチス・ルメイ少将:第20空軍第21爆撃集団司令官

<アメリカ海軍>

・ウイリアム・ハルゼー大将:第58任務部隊司令官

・ハービー・ストーバル少佐:第38任務部隊 作戦参謀

・フレデリック・フレデリクソン中佐:駆逐艦ワズワース艦長

ハルゼー大将率いる第58任務部隊は、艦船に搭載のレーダーで、B29を追跡していた。また、日本軍機と思しき戦闘機の編隊の姿も。

第58任務部隊は、現在御前崎南方約200kmの海域で、航空機用及び艦船用燃料を給油していた。そして、遠州灘監視のために、駆逐艦ワズワース以下3隻の駆逐艦を、遠州灘の南100kmの海域に東西方向に単縦陣で配置した。

「ストーバル少佐。我々は、燃料補給中であるから、戦闘機の発艦は無理だな?」

ハルゼー大将は、いつものブルドック顔でストーバル少佐を睨みながら確認した。

「補給作業が、発艦作業の邪魔になりますし、我々の有する夜戦(第58任務部隊では、F6F-5Nを装備)の数は、十分ではありません。」

「無線を使ったB29への警告は?」

「日本軍が無線を傍受し、B29について新たな情報を得る恐れがあります。」

「では、我々がB29に出来ることは何だね?」

ハルゼー大将の視線が更に厳しくなるのを感じながら、ストーバル少佐は答えた。

「B29の善戦を祈ることです。」

「ストーバル少佐!君は、友軍の20機のB29を、どう思っているんだ!」

ハルゼー大将は、そう言いながら先日入手した極秘資料の内容を思い返した。


a)陸軍航空隊は、空軍として独立する。

b)近日中に、ルメイの部隊が、1発で1都市を破壊できる「特殊爆弾」を実戦に投入する。

c)「特殊爆弾」は、大型であり、B29以上の規模の航空機でないと運用できない(つまり、海軍では運用できない)。

d)現在陸軍航空隊は、B29の改良型と、B29を遥かに凌ぐ超重爆撃機を開発中である。

e)「特殊爆弾」運用能力の有無から、将来、海軍予算は減らされ、それが空軍に回されると思われる。


ハルゼー大将は、はらわたが煮えくりかえるのを抑え、冷静さを装いいった。

「ルメイの部下は優秀だから、心配ないな。」


フレデリック・フレデリクソン中佐率いるフレッチャー級駆逐艦ワズワースは、単縦陣の一番西、丁度中田島砂丘の南辺りを遊弋していた。アイスランドからの移民であるフレデリクソン中佐にとって、日本の6月の蒸し暑さは、不快であった。

日本軍が逆探を持っていることを警戒し、レーダーの使用は禁止されていたので、逆探、無線傍受、及び「夜間での」目視観察で敵情を監視することになっていた。

「それにしても、うちの参謀共は、なんて間抜けなんだ!日本軍の基地と戦闘機の間で、盛んに交信をしているのに、3隻の駆逐艦に1人も日本語が分かる者が居ないとは!」

フレデリクソン中佐は、口にくわえた火が点けていないたばこのフィルタを噛みながら、双眼鏡を陸地のある北に向けて監視していた。

すると、レーダー手から報告が入った。

「逆探が反応!発振源は、北。マイクロ波で、電波の強度からサイドローブ(メインビームの他に、横方向に発振される余計な電波)と思われます。」

「つまり、日本軍のマイクロ波レーダーが、西か東のいずれかの方向を向き、作動している訳だな?」

フレデリクソン中佐が、確認した。

「はい、そうです。浜松にマイクロ波レーダーがあると思われます。」

以前、味方艦上機が、浜松上空で大打撃を被ったことがあったが、もし、このレーダーによって管制された戦闘機による迎撃だったら!

「通信士、暗号電文の準備!」


発:駆逐艦ワズワース艦長フレデリック・フレデリクソン中佐

宛:第38任務部隊作戦参謀ハービー・ストーバル少佐

<報告>

浜松に、マイクロ波レーダーがあることを、逆探にて確認。

<意見具申>

航空機による索敵の後、航空攻撃または艦砲射撃による敵レーダーの殲滅が望ましい。


暗号電文は、ハルゼー大将の元まで届き、第58任務部隊は、日本時間22時頃給油作業を終え、浜松沖へ進路を向けた。その間参謀達は、索敵と攻撃のプランを立てるのに徹夜することとなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ