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第46話

<アメリカ陸軍>

・カーチス・ルメイ少将:第20空軍第21爆撃集団司令官

・トーマス・クラウン中佐:第20空軍第21爆撃集団 第392爆撃戦隊 戦隊長

日本で演習が行われていた頃、グアム島に展開していた第20空軍第21爆撃集団司令官室では、作戦の最終確認が行われていた。

「今回の浜松爆撃は、特殊任務とし、20機編成のB29で実施いたします。エスコートは、夜間爆撃のため付けません。」

カーチス・ルメイ少将は、コーヒーを飲みながら、トーマス・クラウン中佐の説明を聞いていた。

「グアム時間16時に出撃。高度18000フィートで編隊を集合させ、北上。北上しながら高度を30000フィートまで上昇させます。

御前崎上空には、グアム時間23時、日本時間22時に到達。ここで西進して約10分後、浜松上空に到着し、偽装された4か所の飛行場と、日本陸軍浜松飛行場を、夫々4機のB29で爆撃。その後帰投し、グアム基地に到着するのは、グアム時間で翌日7時を予定しています。」

「爆撃は、夜間高高度爆撃か? H2X(爆撃用レーダー)を使っても、正確な爆撃は望めんだろう?」

ルメイ少将の指摘に、クラウン中佐は、

「このシーズンは、強い東向きの季節風(ジェット気流のこと)が弱っていることが、硫黄島での観測で判明していますから、心配ありません。」

「私の前任者のようには、なるまいな?」

ルメイ少将は、自分の前任者で、高高度精密爆撃で成果が上げられず、更迭されたヘイウッド・ハンセル准将を、クラウン中佐に重ねていた。

「大丈夫です。日本周辺の気象は、海軍艦艇からも収集しており、問題ないことが確認されております。」

「装備は?」

「各機に、遅延信管付きのAN-M66 2000ポンド爆弾を7発搭載します。ターゲット1か所当たり28トンの爆弾が降る計算になります。夜間高高度爆撃ということで、迎撃のリスクはほぼゼロですので、機銃は降ろしてあります。エスコートは、前述の通りです。」

「今日の日本に、夜間高高度迎撃が出来る機体はないから、問題あるまい。試作機を製作している工場は、破壊しておるし。」

機銃などを卸し、その分爆弾の搭載量に回すのは、ルメイ少将が3月10日の東京大空襲でも行った手法だ。空気抵抗が少ない高高度を飛ぶ分、前回より1トン余計に爆弾を搭載できている。

「以上が、オペレーション"Grilled eel"(ウナギのかば焼き)の要点ですが、何か質問はございませんか?」

「よろしい、決行せよ。」

こうして、1週間前から毎日行われてきた作戦の確認(口頭試問?) が終わり、作戦が始まった。

クラウン中佐搭乗の1番機「バーバ・ヤガー」が離陸したのは、それから2時間後のことだった。

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