第45話
<陸軍>
・池田公平陸軍大尉:戦闘九一一飛行隊副隊長
・佐久間陸軍中尉:飛燕第一中隊隊長
・明治陸軍中尉:飛燕第二中隊隊長
・田島陸軍大尉:飛行第二二戦隊隊長
<海軍>
・副島弘樹海軍大尉:戦闘九一一飛行隊隊長
・浅田海軍中尉:彗星第一中隊隊長
・森永海軍中尉:彗星第二中隊隊長
・高橋海軍少尉:技術士官、兵装担当
その日の晩、浜松基地に関係者が集まって、演習の結果について反省会を行った。
「写真銃の写真の結果を見ると、二二戦隊の撃墜数は、3機。戦闘九一一飛行隊の撃墜数は、7機です。」
高橋海軍少尉は、写真を7並べのように並べながら説明した。
「ウ~ム、一方的だな。それにしても、どうやって雲の上から正確に降下・攻撃が出来たのだ?」
田島陸軍大尉が、佐久間陸軍中尉に向かって聞くと、
「電探による誘導を受けているからですよ。」
と答えた。
「複数の電探で、二二戦隊と飛燕第一中隊の位置を把握し、最適な攻撃位置を地上で計算、地上の指示の下、攻撃を行うのです。」
「それじゃあ航空兵は、電探操作員の操り人形だな。」
田島陸軍大尉は顔を顰めた。
「結果は、これです。攻撃は一撃離脱を2撃程度に留め、あとは退避です。特に対爆撃機迎撃戦には、有効でしょう。」
佐久間陸軍中尉が、手で戦闘機の飛び方を表しながら答えた。
「あと、お前のところの飛燕は何だ?物凄く調子がいいじゃないか!」
「海軍から支給されたアツタ(元は彗星の発動機)を改造して、排気量向上及び、過給圧向上を行いました。結果、海面高度で2000馬力、高度1万mでも1800馬力出せます。上昇力は、6000mまで約5分。6000mでの最高速力は、増槽なしで690km/h・・・」
「飛燕と別物ではないか!どうしてそんな改修が出来るのだ?」
「三方原基地に隣接する民間の機械工場と、川崎航空機、愛知航空機の技術者、そして我が基地の優秀な技術士官のおかげです。」
佐久間陸軍中尉は、高橋海軍少尉をちらりと見ながら答えた。
「お前のところの飛燕ほどでなくていい。こちらも中島飛行機に技術者派遣を要請するから、誉(疾風の発動機)の改修をしてもらえないか。性能と信頼性の向上を図りたい。」
最初に誉が導入された飛行第二二戦隊でも、メーカーからの支援がないと、十分な稼働率は維持できなくなっていた。
佐久間中尉が答えようとした時、浜松基地の当直下士官が会議室に入ってきた。
「田島大尉殿、暗号電文です。」
そう言って、電報を渡した。
田島大尉は、電文を読み、腕時計を見た後、会議室全員に聞こえるよう言った。
「今から30分前、グアム島から20機のB29が出撃。目標は、浜松だ。」