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第42話

<陸軍>

・池田公平陸軍大尉:戦闘九一一飛行隊副隊長

・東海林陸軍中尉:通信電子隊隊長

・伏木陸軍少尉:技術士官、整備担当

<海軍>

・副島弘樹海軍大尉:戦闘九一一飛行隊隊長

・高橋海軍少尉:技術士官、兵装担当

・宮藤特務少尉:技術士官、整備担当

話は、ルメイ少将が浜松北基地のせん滅作戦立案を行う2週間ほど前のこと。

太平洋は、強い低気圧が停滞していて、第58任務部隊に向かうタンカー(航空機用燃料や潤滑油を満載)は、直進するのも困難な状態だった。2度目の太平洋、しかも潜水艦が居るかもしれない日本近海を進むのは、新米船長には荷が重かった。数度の大きなピッチングとローリングを伴った動揺の後、船長は決断した。

「総員、速やかに退船せよ!避難ボートは充分ある!」

船員たちが、避難ボートに乗り移った後、船長の隣に居た船員が聞いた。

「船長、自沈の作業をしていませんが」

「問題ない、あれだけローリングしているからそのうち沈むよ。」

数日後、アメリカからの贈り物が、中田島砂丘に座礁することになった。


座礁した船を見つけた防砂林電探基地の東海林中尉は、三方原基地の副島隊長に船の調査を具申、高橋海軍少尉、宮藤特務少尉、伏木陸軍少尉が派遣された。

空気圧を下げた九五式小型乗用車で中田島砂丘を走ると、すぐに巨大な船体が見えてきた。

タンカーであることは明白であり、あとは中身だが・・・と、3人がブリッジで内容品リストを見た時、3人は絶叫した。

「アメリカ製の航空機燃料と潤滑油だ!」

当時、海軍から供給されていた航空機燃料のオクタン価が93に対し、アメリカ製は100/130 グレード、つまり混合オクタン価で140!

また、国内で潤滑油が作れず、戦前に輸入した分を使っていたので、劣化も激しかったが、これで新品の潤滑油が手に入る!

3人は、それぞれのサンプルを採取し、浜松高等工業学校で成分の調査を依頼した。

その結果、航空機用燃料も、潤滑油もリスト通りであることが分かった。

3人は、すぐ三方原基地に戻り、タンカーからの航空機用燃料及び潤滑油の回収を具申した。

戦時の工事は、いつでも吶喊!その日の夜から、直径400mmと200㎜のパイプを船と防風林電探基地のそばまで設置し、そこから基地までタンク車でピストン輸送することとなった。

座礁箇所からの漏えいもあり、全量の回収はできなかったが、1か月かけ、毎日出撃しても3か月分の燃料を回収することができた。

残件は、この燃料に合わせた発動機の改修。ノッキングしにくい燃料を、従来の機体に給油しても性能を充分発揮できないからで、具体的には、過給圧の向上とカムプロファイルの変更である。それらは、加工はおやじに、熱処理・表面処理は愛知航空機に任せておけば良かった。発動機の改修は、一月ほど、6月初旬に全て終えた。


一方高橋海軍少尉は、九九式二号20mm二号機銃の発射速度を向上させるため、複座ばねなどをショットピーニングやセッチングなどで強化した。その結果、烈風に搭載される予定の五型をわずかに超える750発/分の発射速度を達成することが出来た。

飛燕と彗星一二戊型の20mm機銃の改修は、半月ほど、5月半ばに全て終えた。


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