第40話
<アメリカ陸軍>
・リカルド・ブロスキ軍曹:F-13偵察機「チェッカーブルー」銀塩写真担当
・カルロ・ブロスキ曹長:F-13偵察機「チェッカーブルー」H2X(爆撃照準レーダー担当)
<アメリカ海軍>
・ウィリアム・ハルゼー大将:第38任務部隊 指揮官
・ハービー・ストーバル少佐:第38任務部隊 作戦参謀
銀塩カメラ担当のリカルド・ブロスキ軍曹は、すでに知られている日本陸軍の浜松飛行場の北に、南北に延びる4か所の偽装された飛行場を目視し、フィルムに収めていった。巧妙に偽装されたそれらは、欧州戦線から写真偵察一筋だった彼の炯眼がなければ、見落としていただろう。
また、H2X対地レーダーに開発段階から関与していたカルロ・ブロスキ曹長は、巧みな微調整で、滑走路の水はけを良くするために掘られた排水溝を鮮明に記録していった。
カルロは、飛行場のある三方原台地の土壌が赤土であることから、水はけが悪く、排水溝が必須であろうとマークしていたのだった。
(砂袋の砂から、風船爆弾の発射地点を特定したように、当時のアメリカは、日本の地質情報も把握していた。)
彼らは、優れた兵士であり、日本軍が巧みに偽装した飛行場を確実に捉えた。その情報は、所属する硫黄島の基地へ、そして任務の依頼元である第58任務部隊指揮官のウィリアム・ハルゼー大将の元へ届けられた。
ウィリアム・ハルゼー大将は、その成果に満足して「第1~第4浜松北基地攻撃作戦」(4か所の飛行場は、東から第1~第4とナンバリングされた)の作戦立案を、ハービー・ストーバル少佐(帰国中、不慮の事故で亡くなったフランク・ギャラガー大佐の後任)に指示をした。
一方、偽装飛行場と、地下に埋設した穴開き排水管や「簡易滑走路敷設用鋼板」(米軍が、前線で短期間に滑走路を造るため用いた穴開き鋼板『マーストンマット』の日本版)を用て、本物の飛行場から排水溝を廃止するなど、あらゆる手でアメリカ軍の偵察の裏をかいた戦闘第九一一飛行隊は、必ず来るであろう米軍の次回攻撃に対する要撃作戦を立案していた。