第39話
<アメリカ陸軍>
・ジェイムズ・ワトキンス中尉:F-13偵察機「チェッカーブルー」機長
・リカルド・ブロスキ軍曹:F-13偵察機「チェッカーブルー」銀塩写真担当
・カルロ・ブロスキ曹長:F-13偵察機「チェッカーブルー」H2X(爆撃照準レーダー担当)
ギャラガー大佐経由の要請で、硫黄島に駐留のアメリカ陸軍第501飛行隊に、浜松の三方原大地全域の偵察命令が下った。
しかし彼らの士気は、イマイチだった。早めに北上してきた梅雨前線により、晴天の日は少なく、銀塩カメラの出番は少ない。H2X対地レーダーを用いた偵察では、画像解析が大変だ。そして何より、海軍からの仕事ときている!
ただ、あのギョロ目のハルゼーを怒らすとどんな目に合うか分からないから、とりあえず、現地の天候を見ながらカメラとH2Xを併用した偵察を行うことにした。
5月10日。F-13偵察機(B29を改造した偵察機)「チェッカーブルー」が、硫黄島を発進。いつものように、富士山を目印に北上し、続いて進路を西に変え三方原大地を目指した。
「こちら移動電探基地。大型機が駿河湾上空を飛行中。高度1万m前後。単機!」
知らせを聞いた副島隊長は、池田副隊長と二言三言しゃべり、指示を出した。
「全員偽装にかかれ!全ての電波を封止せよ。以後通信は、有線のみとする!」
単機で訪れたということは、偵察機であることは明らかだ。1機の偵察機を撃墜して、基地の在り処がばれたのでは、割に合わない。それに、先日敵が攻撃した東偽基地を本物だと思い込ませれば、こちらにとって好都合だ。
「チェッカーブルー」が浜松上空に着いた時、案の定厚い雲に覆われていた。
機長のジェイムズ・ワトキンス中尉が、
「リカルド!雲の隙間が見えたら、何でも写真に撮れ。カルロ!H2Sで片っ端から記録を採れ。モグラの穴まで写して、海軍の奴等をビビらせろ!」
リカルド・ブロスキ軍曹及びカルロ・ブロスキ曹長は、この分野ではトップクラスの人材だ。
するとリカルドが、雲間から偽装された飛行場を目視した。相前後して、カルロのH2Sが、飛行場を囲う水はけを良くするための水路溝を捉えた。
「機長、やりました!海軍野郎が言っていた飛行場を捕らえました!」