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第3話

<陸軍>

・神崎大佐:第11飛行師団参謀長

<海軍>

・山澄大佐:第三航空艦隊参謀長

・美濃部少佐:芙蓉部隊隊長

<軍属>

・ハインリッヒ・フォダス:ドイツ、テレフンケン社から派遣されたレーダーの技師

・津田忠:日本無線社のレーダーの技師

 神崎大佐は、フォダス技師の説明の後、新部隊について説明をした。

「新部隊は、東海某所に設置。部隊構成は、陸軍の飛行第五六戦隊、海軍の戦闘第九0一飛行隊をもって主力となし、電波標定機及び通信網の構築については、後日追加する。」

 それを聞いて、一人の海軍士官が説明を遮った。美濃部少佐である。

「戦闘第九0一飛行隊は、芙蓉部隊の飛行隊ではないか!部隊長である私に一言の断りもなくこのようなことをするのは、暴挙である!戦果を挙げている部隊の戦力を削ぐのが、陸軍のやり方か?」

「これは、三航艦の意向である。」

 山澄大佐が間に入った。

「新部隊には、芙蓉部隊の高い整備力と教育力が必要だ。だから、沖縄への兵力投入を削っても、芙蓉部隊の一部を新部隊に加えたいのだ。沖縄は、他部隊に任せたまえ。芙蓉部隊には、引き続き彗星の供給を滞りなく実施する。」

 「他部隊」が、旧式機を主体とする特攻部隊であることは、明らか。しかしこれ以上の反論は、会合で一番下級の美濃部少佐にはできなかった。

 神崎大佐は、続けた。

「新部隊の作戦開始は、5月1日。なお、今後の新部隊についての詳細は、軍事秘密扱いとし、口外しないこと。以上!」


 会合が終わり、士官達は、会議室を後にしていった。神崎大佐と山澄大佐を除いて。

「山澄大佐。この度は、素晴らしい案を出して下さり、ありがとうございます。」

「なに、お互い国防会議には、いい数字を出さなくてはいけませんから。」

「それにしても、海軍の不要部隊に、うちの不要部隊をくっつけて、我が師団の稼働率を上げられるとは!」

「うちは、芙蓉部隊だよ。貴重な精鋭部隊を、陸軍部隊の稼働率向上のためにおすそ分けするんだぞ!神崎大佐の三式戦の部隊は、酷いものだからね。」

「三式戦の新型なんか、酷いものだよ!離陸すればめっけもの。撃墜されるのと、故障で墜落するのとでは、どちらが多いのだか・・・・」

「とにかく"新芙蓉部隊"で、不要な機材を消耗してもらって、我々の部隊の稼働率を上げないと!」

「"新芙蓉部隊"には、"新不要部隊"になってもらいますか!」

 陸海軍の参謀長の目的は、まともに動かない機材を新部隊に押しつけ、自分の部隊の稼働率を良く見せることだったのである。そのため新部隊には、次々とまともに動かない装備が送られることとなる。


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