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第33話

<陸軍>

・池田公平陸軍大尉:戦闘九一一飛行隊副隊長

・佐久間陸軍中尉:飛燕第一中隊 中隊長

・東海林陸軍中尉:通電隊隊長、防風林電探基地にて指揮

<海軍>

・副島弘樹海軍大尉:戦闘九一一飛行隊隊長

・浅田海軍中尉:彗星第一中隊 中隊長

その日の夜、日米双方でその日の戦闘についての会議が行われた。

<三方原飛行場 会議室>

「今回は、初出撃で戦果を上げ、しかも全機帰投という快挙を成し遂げた。皆も分かっているように、兵器は材料さえあれば直ぐに作れる。しかし優れた搭乗員の養成には、長い期間が必要だ。君たちは、兵器ではなく人間だ!命をむやみに捨てず、兵器には出来ない人間としての戦いを行って欲しい。」

 副島隊長は、特攻作戦で人間を爆弾付き航空機の「誘導部品」位にしか思っていない陸海軍上層部が聞いたら激怒するような訓辞を行った。会議に参加した士官の士気が高揚したのは、言うまでもない。

「では早速本日の戦況について報告してくれたまえ。まず、東海林中尉!」

「はい!」

 東海林中尉は、メモを見ながら報告を始めた。

「敵機を捕らえたのは、二一型電探を用い、彼我の距離が約120kmの位置に入ってからです。その後、ウルツブルクの有効範囲に入り、敵編隊が高度3000mに約50機、5000mに10機程度いることが判明しました。そして戦闘後、南下する敵機の数は、高度5000mに10機、高度500mを約30機でした。」

 副島隊長は、20機も撃墜したのかと、目を丸くしたのち言った。

「5000mを飛行していたのは、護衛のグラマン(F6F艦上戦闘機)だろう。そして3000mを飛んでいたのは、爆撃機隊か。佐久間中尉、機種は分かるか?」

「はい、ヘルダイバーとドーントレス、あとアベンジャーまで出してきました。雷撃機まで出してくるのは、米機動部隊の兵站線が長くなって、爆撃機の補給が滞っているからでしょうか?」

飛燕第一中隊の佐久間隊長が答えたのに対し、副島隊長は、

「そうかも知れない。ただ、戦力が少ない浜松基地を使って、爆撃訓練を行ったと見る方が自然だろう。アベンジャーの搭乗員は、雷撃と異なり、爆撃の訓練をろくにしていないだろうから、実戦体験を兼ねた爆撃訓練をしたのだ。我が海軍に、アベンジャーが雷撃する艦はなくなりつつあるからな。」

一同は、息を呑んだ。装備が貧弱とはいえ、敵基地で爆撃訓練をするとは!


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