第31話
<陸軍>
・池田公平陸軍大尉:戦闘九一一飛行隊副隊長
・佐久間陸軍中尉:飛燕第一中隊 中隊長
・東海林陸軍中尉:通電隊隊長、防風林電探基地にて指揮
<海軍>
・副島弘樹海軍大尉:戦闘九一一飛行隊隊長
・浅田海軍中尉:彗星第一中隊 中隊長
・高橋海軍少尉:技術士官、兵装担当
・真小井上等兵曹:海軍最強のし重兵
<学徒動員>
・島崎夏美:彗星隊の迎撃管制を担当
・山野いづみ:飛燕隊の迎撃管制を担当
・石岡智子:敵機の位置の連絡担当
・碇奈津子:見方機及び敵機の飛行経路計算を担当
<アメリカ海軍>
・ロバート・スピネッカー大尉:SB2Cヘルダイバー急降下爆撃機隊 隊長
・ミズン・ウォーターマン:SBD-5ドーントレス急降下爆撃機 隊長
・スタン・ヨルゲンセン中尉:TBM-3アベンジャー雷撃機 隊長
・ボブ・ストライカー大尉:F6Fヘルキャット艦上戦闘機 隊長
<アベンジャー爆撃隊 スタン中尉>
「スタン中尉、大変です!後ろを飛ぶロジャー少尉のアベンジャーが食われました!しかもトニーの機銃は、まるでホースで水を撒くみたいに一直線アベンジャーに当たり、機体をボロボロに破壊しました。曳光弾がつながって見えるなんて、恐ろしい発射速度だ!」
スタン中尉は、いつもは落ち着いているブッシュ少尉があまりに興奮して報告するのを聞きながら、必ず帰還して情報部に報告しなければと考えていた。
<東の偽基地 高橋海軍少尉>
「佐久間中尉、驚いているだろうなぁ~」
高橋海軍少尉は、クスクス笑った。
今高橋海軍少尉が居るのは、偽基地の林の中の小屋に設けた射撃統制室。
仮に敵機がこの上空を飛び、偽の基地と間違ってくれたら、アメリカ軍がここを攻撃し、無駄弾を使わせることが出来る。そう考えた高橋海軍少尉は、副島隊長の許可を得てここにやって来たのだ。飛行場があって、そこから反撃があれば、誰もが本物の基地だと思うだろう、と考えたのだ。
この偽基地は、セルシンモーターを使った遠隔操作で、3連装25mm機銃4門と、28連装対空噴進弾2門を、この射撃統制室から操作が出来るようになっていた(実はこれらは、建造中止となったある空母に搭載予定だったこれら装備を、『日本最強のし重兵』こと、真小井上等兵曹が調達したものだ。同様の装備は、他の基地にも配置されていた)。
すると、北の方から敵機が来るのを、電探基地からの無線で知った。
「よし、射線を北に向けて・・・・」
双眼鏡で指示通りに機銃が動いているか、噴進弾発射機が動いているか確認をし、そのまま北の空に目をやった。
「確かにあれは、敵機だな。エンジンが空冷だ!」
祖父が日本海海戦の折、手に入れたというツァイス社製8倍双眼鏡は、浜松の地でも、飛行中の敵機の姿を鮮明に捉えていた。
高橋海軍少尉は、双眼鏡を置き、あらかじめ決めておいた目印となる吹流しの竿の上に敵機が来るのを待った。
「今だ!」
高橋海軍少尉は、グイッと発射ボタンを押した。