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第2話

<陸軍>

・神崎大佐:第11飛行師団参謀長

<海軍>

・山澄大佐:第三航空艦隊参謀長

・美濃部少佐:芙蓉部隊隊長

<軍属>

・ハインリッヒ・フォダス:ドイツ、テレフンケン社から派遣されたレーダーの技師

・津田忠:日本無線社のレーダーの技師

 神崎大佐が連れてきた2人は、大柄なドイツ人と日本人であった。身の振りから、軍人でないことは明らか。

 神崎大佐は、2人を紹介した。

「こちらが、ドイツ人のハインリッヒ・フォダス技師。テレフンケン社から派遣された、電波標定機の技師だ。」

 電波標定機とは、海軍の用語で言う電波探信儀(電探)、レーダーのことである。レーダーの表記一つとっても、陸軍と海軍で異なっていたのである。

 神崎大佐は、続けた。

「その隣が、津田忠技師。日本無線の技師で、フォダス技師と共にドイツ製電波標定機の国産化と、ドイツ語の通訳をしている。これから、フォダス技師に新防空網について説明をしていただく。」

フォダス技師と津田技師は、正面の黒板に模造紙に描かれた説明資料を貼った。一部士官から、国民学校の学習発表会のような行為にクスクス笑いが漏れた。

 フォダス技師は、その長躯からよく通る声で話し始めた。

「帝都の防空体制ですが、極めて遅れています。ドイツに比べて5年以上遅れています。」

 フォダス技師の指摘に、室内の士官の視線がきつくなった。特に京阪・中京の防空を担う11飛師の士官は、掴みかからんばかりだった。しかし、模造紙の資料を基にしたドイツの防空網の説明を聞くと、怒りは納得に、そしてすぐに焦りへと変わっていった。

「以上の体系は、ドイツにおいて、1939年にはすでに運用されているものです。その後の進化は、機材の進化と運用でさらに高度化しています。今の日本の防空の欠けているのは、2つ。1つは、敵機の索敵、及び見方機の誘導を行う電波標定機がないこと。もう1つは、戦闘機間、戦闘機と地上とを結ぶ、濃密な無線電話網です。」

同盟国ドイツと、日本の現状の格差を突きつけられた士官達は、平静を装うものの、内心はじくじたるものであった。しかし、その後のフォダス技師の説明に一縷の希望を持つこととなった。

「現在、日本無線殿で進めている射撃用電波標定機"ビュルツブルク"の先行量産が進んでいます。また、陸海軍の各種電波標定機も、私の提言に基づいた改修で、動作がかなり安定しています。これら電波標定機と戦闘機を組み合わせれば、飛躍的に防空力を向上させられるでしょう。新しい飛行部隊が、それを立証してくれるでしょう。」


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