第27話
<陸軍>
・池田公平陸軍大尉:戦闘九一一飛行隊副隊長
・佐久間陸軍中尉:飛燕第一中隊 中隊長
<海軍>
・副島弘樹海軍大尉:戦闘九一一飛行隊隊長
・浅田海軍中尉:彗星第一中隊 中隊長
<学徒動員>
・島崎夏美:彗星隊の迎撃管制を担当
・山野いづみ:飛燕隊の迎撃管制を担当
・石岡智子:敵機の位置の連絡担当
・碇奈津子:見方機及び敵機の飛行経路計算を担当
<アメリカ海軍>
・ロバート・スピネッカー大尉:SB2Cヘルダイバー急降下爆撃機隊 隊長
・ミズン・ウォーターマン:SBD-5ドーントレス急降下爆撃機 隊長
・スタン・ヨルゲンセン中尉:TBM-3アベンジャー雷撃機 隊長
・ボブ・ストライカー大尉:F6Fヘルキャット艦上戦闘機 隊長
<ヘルダイバー急降下爆撃隊隊長 ロバート大尉>
今日は5月2日。姉の誕生日である。弱体化した日本空軍の基地への爆撃は、容易なことだろう。なんせ我々は、52機の爆撃機を擁し、それらが携行する爆弾の量は、88000ポンド(約40トン)にも及ぶ。しかも都合の良いことに、我々が飛行する高度9000フィート(約3000m)辺りには、薄く雲が垂れ込み、レーダーを持たぬ日本軍に、完璧な不意打ちを食らわせることが出来るだろう。
<アベンジャー雷撃機隊隊長 スタン中尉>
飛行高度に垂れ込めた薄い雲が邪魔だが、機体下の機関銃手が天竜川をすぐに発見、目印としていた川の蛇行部で進路を西に向けた。
日本本土の爆撃は初めてだが、日本空軍は弱体化している。雷撃よりは、楽な仕事になりそうだ。
<F6F戦闘機隊隊長 ボブ大尉>
この仕事は、暇になりそうだ。これから攻撃する浜松飛行場は、攻撃部隊の駐留する所ではなく、戦闘機も旧式のネイト(九七式戦闘機)位なものである。更に彼らには、レーダーがなく、爆撃機たちを覆うようにうすい曇がかかっているから、完璧な不意打ちが出来るだろう。
私の仕事は、空中に退避した旧式戦闘機の類を撃墜することだけだな。楽にキルマークを増やせそうだ。
<彗星第一中隊 浅田海軍中尉>
3000m付近を飛ぶ敵機(多分艦上爆撃機の類だろう)が、最短コースである中田嶋砂丘を通らず、天竜川を北上し、途中で西進したのは、薄くかかった雲で機位を誤らないためだろう。
しかしそうなると、浜名湖上空で待機する我々と正面からぶつかることになる。
それを読んでか、最大速度で北東へ進み、その後南進して敵編隊右側面につけよとの指示が来た。無線は良好。島崎さんの声も明瞭に聞き取れる。
彼女の指示で変針すると、ぼんやりと敵機らしい黒い点が見えてきた。新型レーダーの精度と、碇さん達の計算能力は、たいしたものだ。
私は、早速スパンスケールを調整して、射撃の時を待った。
<飛燕第一中隊 佐久間陸軍中尉>
彗星隊が北から南へ攻撃するのに対し、我々は、西から同航戦を行うため、一旦海上に出て東進し、大きく回り込むようにして敵部隊(高度3000mと5000mに編隊があれば、5000mの方は、戦闘機隊に違いない)の後方下位を占有することに成功した。
あとは、彗星隊が花火を上げるのを待つだけだ。