第26話
<陸軍>
・池田公平陸軍大尉:新芙蓉部隊副隊長
・佐久間陸軍中尉:飛燕第一隊中隊 中隊長
<海軍>
・副島弘樹海軍大尉:新芙蓉部隊隊長
・浅田海軍中尉:彗星第一中隊 中隊長
<学徒動員>
・島崎夏美:彗星隊の迎撃管制を担当
・山野いづみ:飛燕隊の迎撃管制を担当
・石岡智子:敵機の位置の連絡担当
・碇奈津子:見方機及び敵機の飛行経路計算を担当
<アメリカ海軍>
・ロバート・スピネッカー大尉:SB2Cヘルダイバー急降下爆撃機隊 隊長
・ミズン・ウォーターマン:SBD-5ドーントレス急降下爆撃機 隊長
・スタン・ヨルゲンセン中尉:TBM-3アベンジャー雷撃機 隊長
・ボブ・ストライカー大尉:F6Fヘルキャット艦上戦闘機 隊長
実戦の場は、突然訪れた。
九州の芙蓉部隊に誤って送られた空対空仕様の二八号爆弾(実質はロケット弾)が零式輸送機によって空輸、搬出され、三方原基地に届いた空対艦仕様の二八号爆弾を、零式輸送機に搬入していた時のことだった。
零式輸送機の操縦士が、食堂で昼食を食べて作業を見守っていると、
「防風林電探基地より各局へ。砂丘南方約140kmに、敵小型機多数の感知。これは、演習にあらず。これは演習にあらず!」
実は、日本の太平洋岸を遊よくしていた第58任務部隊が、浜松基地及び周辺の中小工業地帯の壊滅のため、攻撃隊を出撃していたものだった。
陣容は、
ロバート・スピネッカー大尉率いる、SB2Cヘルダイバー急降下爆撃機20機(2000ポンド爆弾搭載)
ミズン・ウォーターマン中尉率いる、SBD-5ドーントレス急降下爆撃機16機(1000ポンド爆弾搭載)
スタン・ヨルゲンセン中尉率いる、TBM-3アベンジャー雷撃機16機(2000ポンド爆弾搭載)
ボブ・ストライカー大尉率いる、F6Fヘルキャット艦上戦闘機10機
わずかな旧式戦闘機しか装備していない浜松基地を相手にするには、あまりに過剰な戦力であるはずだった。
三方原基地では、サイレンが吹鳴され、半数ほど対艦仕様の二八号爆弾を搭載した輸送機は、すぐに飛び立って行き、飛燕と彗星は出撃の準備を始めた。
改造されたⅠ型丙による飛燕第一中隊12機、二八号爆弾10発を搭載した彗星第一中隊12機が、準備が出来次第離陸していった。
空中での集合場所は、浜名湖上空。山野いづみと島崎夏美が、飛燕と彗星を迅速に誘導していった。
「防風林電探基地より各局へ。敵小型機は、砂丘南方120kmまで接近。高度3000mと5000m、速度約時速300km。」
「彗星第一中隊、現状で高度2000mにて待機。」
島崎夏美が指示を出した。
「飛燕第一中隊、20mm機銃、12.7mm機銃試射実施せよ。20mm機銃発射不能の者は申告せよ!」
山野いづみが指示を出すと、数分後、飛燕第一中隊の佐久間陸軍中尉より、
「全機、異常なし」
と報告した。
「高度6000mに上昇して待機せよ。」
山野いづみが新たな指示を出した。
新芙蓉部隊こと戦闘九一一飛行隊の初陣が、始まろうとしていた。