第22話
<陸軍>
・池田公平陸軍大尉:新芙蓉部隊副隊長
・東海林陸軍中尉:通信電子隊隊長
<海軍>
・副島弘樹海軍大尉:新芙蓉部隊隊長
・佐藤海軍大尉:整備隊隊長
・高橋海軍少尉:技術士官、兵装担当
・宮藤特務少尉:技術士官、整備担当
昭和20年4月の上旬。基地としての機能がほぼ整い、新しい迎撃法を習得するための訓練が始まった。
迎撃は、次のように行われる。
1)防風林電探基地の二一号電探で、接近する敵機を捕捉(探知距離は、戦闘機大で単機で約85km、編隊で120km)。捕捉したことを、三方原飛行場に報告。
2)敵機が70km程度まで近づいたとき、防風林電探基地のウルツブルク初号機で、敵機の正確な速度、高度、方位を求め、三方原飛行場に報告。
3)彗星隊と飛燕隊が出撃、浜名湖上空で空中待機。この時、彗星は、敵機よりやや下の高度、飛燕はやや高い高度を維持。
4)敵機が海岸線を通過した時、佐鳴湖電探基地の二二号電探、移動基地の二二号電探で正確な敵機の位置を捕らえ、三方原基地に逐一報告。同時に三方原基地のウルツブルク2号機で彗星隊、移動基地のウルツブルク3号機で飛燕隊を敵機に向け誘導。
5)彗星隊が、先行して接近。敵機のやや下の高度を飛行し、敵機の7時方向(敵機の死角)から空対空ロケットである二八号爆弾(彗星1機あたり10発)を斉射。敵機を漸減かつ混乱させる。彗星はその後、速やかに帰還する。
6)その直後、飛燕隊が上空から攻撃。2撃程度実施し帰還。長期戦は、極力避ける。
7)必要であれば、第二波攻撃も実施。
※三方原防空隊は、彗星隊、飛燕隊共に二個中隊と予備機しかないため、基本は第二波は出さない。
この戦法に沿って、何度も訓練が行われたが、実際やってみていくつか問題が生じた。
特に問題だったのは、複数の電探の値から迅速に平均値を出し、○○分後の予想位置を計算するのに、手回し式計算機では追いつかないこと。そして、無線電話の音質があまり良くなく、彗星隊に指示を出したものと、飛燕隊に指示を出したものが混同されることがしばしばあったことであった。