第18話
<陸軍>
・池田公平陸軍大尉:新芙蓉部隊副隊長
・東海林陸軍中尉:通信電子隊隊長
・伏木陸軍少尉:技術士官、整備担当
<海軍>
・副島弘樹海軍大尉:新芙蓉部隊隊長
・佐藤海軍大尉:整備隊隊長
・高橋海軍少尉:技術士官、兵装担当
・宮藤特務少尉:技術士官、整備担当
<軍属>
・津田忠:日本無線社のレーダー技師
「では、電探の進捗。津田技師、報告せよ。」
池田副隊長が、質問した。
「はい。東海林中尉の説明にもありましたように、電探の基地を3カ所設けました。まず、浜松の南端 中田島砂丘の防砂林に設けた防砂林電探基地には、遠距離索敵用に二一号電探を5基と、敵機の精密評定用にウルツブルクを1基設置しました。」
「なぜ二一号電探を、5基も設置したのかね?」
「これら二一号電探は、フォダス技師のアドバイスを受けて、送受信の安定性を向上させることに成功しましたが、測定値のばらつきが、若干大きめです。そこで、常時3基を稼働させ、3基のデータを比較の上、測定値とすることにしました。そして残りの2基は、整備を施し、順次稼働中の電探と交代させて使用します。」
「なるほど、常時遠距離索敵をするために、5基用意したわけだ。偽装は?」
「空中線は、防砂林の南側に配置しているので、松の木に隠れて見えにくくなっています。また空中線が格子状になっているので、所々に魚をかけて、干物作り用の棚に偽装しました。実験の結果、電探の精度に影響がないことが確認されました。おとりも、電波を発振出来るものを5基設置しました。これで、敵の逆探も騙せます。ウルツブルクは、偽装網をかけています。」
「空中線で干した干物、たまに持ってきてくれ!佐鳴湖電探基地は、どうだ?」
「佐鳴湖電探基地は、湖北岸に二二号電探を1基配置しました。この二二号は、象限儀付きの俯仰角出来る台に設置したもので、敵機の精密評定用です。ウルツブルク程の精度ではありませんが。偽装は、鉄パイプで組んだいかだの上に空中線を設置し、使用しない時は、佐鳴湖の中に沈めます。」
「そんなことが可能なのか?」
「はい。二二号は、潜水艦の艦橋にも搭載されるほどですから、問題ありません。」