第13話
<陸軍>
・池田公平陸軍大尉:新芙蓉部隊副隊長
・伏木陸軍少尉:技術士官、整備担当。
<海軍>
・副島弘樹海軍大尉:新芙蓉部隊隊長
・佐藤海軍大尉:整備隊隊長
・高橋海軍少尉:技術士官、兵装担当。
・宮藤特務少尉:たたき上げの年配技術士官。整備担当。高橋少尉とペアで仕事することが多い。
<軍属>
・おやじ:東海精機重工業 専務。根っからの技術屋。
ここは、飛行場に平行して作られた射場。機銃と照準器の調整を行う場所だ。その射座に、架台に乗せられた3門の機銃が、500m先の鋼板的を睨んで置かれていた。おやじが、架台の調整をしている。高橋海軍少尉は、機銃の横に立っていた。
時間は、14時半。搭乗員は、高橋海軍少尉の正面にきれいに並んでいる。そして列の端には、佐藤整備隊長や伏木陸軍少尉も居る。
「高橋少尉、準備完了です。」
軍属扱いとなったおやじが報告した。
「ありがとう。」
高橋海軍少尉は、おやじの方を向いて返事をし、再び正面を向いてから話し始めた。
「我々の基地にある飛燕の20mm機関砲は、ドイツ製のマウザー砲か、ホ5である。しかし、弾薬がない!そこで、弾薬が安定的に供給できる海軍の九九式二号20mm機銃を搭載することとした。」
搭乗員の中から、ざわめきが出た。主に陸軍搭乗員だったが、海軍搭乗員からも少し出ていた。
「ざわめく理由は、分かる。海軍の20mmの弾道が、ションベン弾と聞いているからだろう。しかし、我々が使う20mm機銃が違うことを、実地で示そう。まず、この3発の機銃弾を見てくれ!」
高橋海軍少尉が一番長い弾薬、おやじは二番目と三番目に長い弾薬を持った。
「この中で、マウザー砲の弾薬は、どれか?」
「高橋少尉が持っているものであります!」
正面に居た陸軍の搭乗員が、答えた。
「ハズレ!マウザー砲の弾は、一番短い弾薬である!2番目に長いのがホ5、そして一番長い弾が九九式二号機銃だ!」