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第12話

<陸軍>

・池田公平陸軍大尉:新芙蓉部隊副隊長

・伏木陸軍少尉:技術士官、整備担当。

<海軍>

・副島弘樹海軍大尉:新芙蓉部隊隊長

・佐藤海軍大尉:整備隊隊長

・高橋海軍少尉:技術士官、兵装担当。

・宮藤特務少尉:たたき上げの年配技術士官。整備担当。高橋少尉とペアで仕事することが多い。

<軍属>

・おやじ:東海精機重工業 専務。根っからの技術屋。

 一方、高橋海軍少尉は、降りてきた飛燕を見てため息をついた。そして、側に居た陸軍の伏木陸軍少尉に声をかけた。

「おい、伏木。降りてくる飛燕は、Ⅰ型丁とⅡ型ばかりだなぁ。」

帝大の同期生である伏木陸軍少尉も階級なしで答えた。

「おお高橋、そうだよ。マウザー砲(ドイツから輸入した高性能20mm機関砲)を搭載したⅠ型丁と、ハ140を搭載したⅡ型だ。」

「マウザー砲の弾薬は、どれだけあるんだ?」

「100発だ。」

「機銃1門あたり?」

「全部で100発。残りの輸入弾は、東京の部隊や、福生の飛行実験部実験隊に送られている。」

「ちなみにⅡ型のホ5(国産の20mm機関砲)の弾薬は?」

「全部で300発。弾薬の補給は、疾風等を装備した部隊が優先で、我が隊には来ない。」

「それでお前は、戦いに行けと搭乗員に言えるのか?」

「士官としては、言える。しかし、技術者としては言えない。」

「技術者としての伏木が残っていて良かったよ。機銃の件は、手を打ってある。」

技術者は、精神論では動かない。理論と実践、効率を貴ぶものである。

伏木陸軍少尉は、飛行第68戦隊の整備士官としてニューギニアへ赴任、Ⅰ型丁の整備を指揮していた。そして戦隊が全滅する3週間前、赤痢で内地に異動し難を逃れたのだった。内地と台湾を往復する程度で、専ら空技廠で開発畑を歩んでいた高橋海軍少尉には、伏木陸軍少尉を襲った精神的抑圧がどれ程だったか想像もできなかった。しかし、今隣に居る伏木陸軍少尉は、帝大時代の伏木と同じように見えた。

「で高橋、どういう手を打ったんだ?」

「九九式20mm機銃に換装する。」

「あのションベン弾の20mmか?」

「まあ見てなさい!今、13時だから14時半に海陸の全搭乗員を射場の射座に集めてくれないか?海軍技術をご覧に入れよう!」

高橋海軍少尉は、口角を上げ、子供のようにニヤリとした。それは帝大時代、高橋が、たまに伏木より良い点数を取った時の表情そのままだった。


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