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第10話

<陸軍>

・池田公平陸軍大尉:新芙蓉部隊副隊長

<海軍>

・副島弘樹海軍大尉:新芙蓉部隊隊長

・佐藤海軍大尉:整備隊隊長

・高橋海軍少尉:技術士官、兵装担当。

・宮藤特務少尉:たたき上げの年配技術士官。整備担当。高橋少尉とペアで仕事することが多い。

<軍属>

・おやじ:東海精機重工業 専務。根っからの技術屋。

ここ数日、やっと三方原基地も飛行場らしくなってきた。部隊装備機の飛来が続いたからだ。

海軍機の彗星一二型と一二戊型、陸軍の三式戦飛燕Ⅰ型丁と同Ⅱ型である。

彗星の製造会社である愛知航空機や、飛燕の製造会社である川崎航空機の技術者が見つめる中、着陸が進んでいった。

しかしそれは、かなり対照的なものだった。

安定したエンジン音を響かせ飛来する彗星に対し、ばらつくエンジン音に、しばしば吐き出す黒煙の飛燕。Ⅱ型に至っては、2機が着陸前に発動機が止まり、飛行場の手前で墜落してしまった(幸い搭乗員は、軽傷ですんだ。耕された赤土の効用か?)。

今日までに、彗星一二型 15機、彗星一二戊型7機、飛燕Ⅰ型丁 13機、同Ⅱ型9機が到着した。

「キ61(飛燕のこと)の発動機は、液冷発動機に慣れてない奴の整備だな。酷いもんだ。」

宮藤特務少尉は、ため息をついた。

「川崎さん、交換用のピストンを持ってきましたか?愛知さん、交換用のクランクシャフトとコンロッドは、いかがです?」

「任せてください!浸炭層をドイツ製並に厚くして、強度を向上させた逸品を持ってきました。」

愛知航空機の技術者は、胸を張って答えた。海軍は陸軍と異なり、ニッケルなどの強度向上に必要な希少金属の使用規制が緩かったのと、愛知航空機の熱処理技術の高さの証だ。

一方川崎航空機の技術者も、

「十分な数のピストンを用意しました。飛燕は、川崎の誇りです。五式は、本来の形ではありません!我々も全力でお手伝いします。」

と、力強く答えた。

その時、管制塔(と言っても、滑走路整地で出た残土の山)から降りてきた、整備を統括する佐藤整備隊長が、愛知、川崎の技術者や部下を前に訓示した。

「優勢なる敵が、この遠州灘にも遊よくする現在、陸・海軍の協同作戦は、相手を痛打するのに必須である。軍の壁、会社の壁を打ち壊し、最大限の力を引き出そう!」

皆が頷く中、若手の川崎の技術者が、真っ青な顔で走ってやって来た。

「大変です!ピストンが、ピストンが!」


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