20111215:いつか書こうと思ってた話
先に断っておきますが、暗い話です。
ここでは、よく「死にたい」という言葉を見かけます。
もちろん、「もう恥ずかしくて死んでしまいたい!!」とかいう使われ方なんかじゃなくて、心からの叫び。
直接知る人の無い場所へ向けてなら、心の中を曝け出せるのでしょうね。
私は、これまで一度も「死にたい」とも「消えたい」とも思った事はありません。
「逃げたい」や「投げ出したい」はいっぱいありますけどね。
私には、その人達に対して「止めて下さい」と言う資格はありません。
言った所で、その人達には何の効果もありません。逆に追い詰めてしまう事にだってなりかねません。
ただ、「もし実行されたら悲しむ人はいませんか?」と言う位が精一杯でしょうね。
それすら良いのか悪いのか、難しい所です。
それぞれ事情があり傷を抱えてしまったのでしょうから、その傷が癒えない限り、衝動は消えないでしょう。
私は、その人に近い人でないと、心を開いてもらう事なんて出来ないと思っています。
だから、私には資格が無いんです。
昔、リストカットを繰り返し、薬を一度にたくさん飲んで、何度も自殺を図る少女の日記をずっと読んでいた事があります。
もちろん「止めて」なんて事は送った事がありません。
その子の叫びは悲痛でした。だから目が離せなかったんだと思います。
普通に暮らして行ける事を望みながらも、つい自らを傷をつけてしまう。
心療内科でもらう安定剤を、きちんと飲まないと苦しいのに、それでも飲まずに貯めて、自分の存在を消そうとしていました。
それでも、日常の嬉しかった事や、些細な事も出てきます。
けれど、身近な人へ心を開いていない部分がたくさん出てきます。
そして、すべて自分が悪いと思い込んで、どんどん溜め込んでいました。
親に対して「こんな子でゴメンね」とか、
兄弟に「やっちゃ駄目だって分かってるけど、私は駄目な子だからまた切っちゃった」とか
自分がどれだけ心配をかけてるかを分かってて、自分の存在が迷惑なんじゃないかと思い込んで、「死ぬ」ではなく「消えたい」と思っているのです。
「死ぬ」のは怖いんです。ただ自分みたいなのは「いなくなればいい」と考えてしまうのです。
……悲しいですよね。
結局、どのくらいの間見てたのかな? 1年くらいずっと見てたような気がします。
最後はプツリと日記が途絶え、サイトは削除されました。
彼女がどうなったのかは分かりません。
と、ここまでは、完全に遠い人の話。
ここからは身近な人の話。
でも『だった』と、過去形にするのが正しいんだと思います。
保育園からの付き合いの、1つ上の友達がいました。
家が近かった事もあり、よく遊んでました。女の子です。
以前書いた「CLAMP」の同人誌を一緒に作った仲で、「パタリロ!」好きの同士でもある、不思議な雰囲気の子でした。
家は古い旅館と衣料品店をやっていて、部屋数が多く迷路みたいな印象でした。
(車が普及して無い昔と違い、泊まる人は少なくなっていたのですが)
父親は脳に障害があって、普通に接していると調子が狂います。
たぶんその事を引け目に感じた親が、甘やかした結果なんでしょうね。イタズラ好きな子供のような人でした。
数人で何かのゲームをやってる時に、急に乱入してきて「一番になったやつに、これをやるぞ」って50円を出して、娘に激しく追い払われました。
その子は親の事が大っ嫌いと言っていて、親の事になると豹変してました。
近所での反応は、「まぁ、あそこの息子は…」的な、見てみぬ振り。
色々耳に入る声に傷付けられていたのでしょうね、中には直接言われた事もあったかもしれません。想像でしかありませんが。
彼女本人は、大人びた考え方をする人でした。でも、芯の気性は荒く、憤りをたくさん持った人。ただそれは、あまりプラスの方には作用してなかった気はします。
不思議な雰囲気は、たぶん彼女のバリヤーで、大人びていたのは親への不満だったのかもしれません。
私が中学1年だった頃、登校中に彼女はこんな事を言い出しました。
「私は若いうちに死にたい。年老いた醜い姿になりたくなくて、若くて綺麗なうちに死んでしまいたい」
思春期の思想と言えば、それまでなのでしょうが…
一対一の状態で、こんな事を言われた私は困りました(^^;
前述したように、私は死にたいと思った事がありません。
そして、その友達の事が好きです。
結局、自分が醜くなるのが嫌だってのは分かる、けど死にたくはないな。って事を言ったような気がします。
こんな話を聞いたのは、これ一回きりなのですが、忘れようのないエピソードです。
その後、彼女は卒業して地元の高校に進みました。それから何度か会う事はありましたが、徐々に疎遠に。
私は少し離れた高校に進んだので、以降まったく会っていません。
大人になって地元を離れてから、彼女のその後は親経由で何度か聞きました。
……心苦しい事ばかりです。
親の離婚に、彼女には兄がいたのですが、二人とも引きこもりの状態で、結局兄は自殺。
彼女が精神科に入院したらしいという話を何度か聞き、最後は、薬を大量に飲んで病院に運ばれたけど、意識不明らしい。
…その後の事は分かりません。
中学の頃ならいざ知らず、今はもうこちらから聞く資格は無いでしょう。
ただ幸いな事に、死んだという話は聞いていません。
けれど、これから彼女と向き合う勇気も、今はありません。
うちは祖父が大工で、父も建具屋(?)のような事を掛け持ちでやっていました。畳んでからもその子のうちに、戸を直してくれと頼まれて行った事があります。
その戸は彼女の部屋だったらしく、壁には「○×死ね」などの言葉がたくさん書かれていたのを見たそうです。
だから思うんです。
彼女が「若いうちに死にたい」と漏らした時、私はどうするのが正しかったんだろう? って。
あの頃であれば、私には彼女の心の中にまで入れる資格があったんだと思います。
ほんの少しでも、心の中の言葉を漏らしてくれたのですから。
でも当時の私は幼くて、そんな事には気付かなかった。そして、こんな事になるなんて、思ってもいなかったから。
「もしも」の話なので、今更なのは分かってるんですが、ここで「死にたい」って書かれてるのを見ると、どうしても思い出してしまいます。
そして、自分には差し伸べる手も、向き合う覚悟も無い事に苛立ち、心苦しく思うだけなんです。
……という訳で、
ほら、暗いでしょ?(^^;




