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20.久しぶりに


 視点は変わり、秘色の美男子こと配信者『けーしぃ』へ。


(この美男子?……いや、少年? 強くない??)


「おっと、あぶねー」


 下から振り上げられたメイスをギリギリで避ける。それこそ首の皮一枚で。

 かすめた衝撃で頬が少し切れ、血がにじむ。


「これで当たらないの?!」


 いやいや、当たりそうになってるんだよ、ピンクの少年くん。

 その目、真っすぐすぎてこっちがヒヤッとする。


 50戦目あたりまでは、近くまで簡単に倒していた相手も少しずつ強くなってきた。

 けれど、ここまで“生きた戦い”をしてくる相手は、今までいなかった。


 配信というのは盛り上がりがあるほど同接が上がる。

 『最初の試練』耐久配信という自分の枠で、今は普段の倍以上の同接数。

 視聴者コメントが流れっぱなしで、チャット欄が止まらない。


 ――配信者同士、なんだろうな。

 相手と会話が弾むので見ていて飽きないだろう。

 ……どうせなら、自分も客観視したうえでイケメン君を見ていたい。


 という欲は後回しにして、刀を振り上げる。


「こっちのセリフ!」


 ピンクの髪の少年くんは後ろに避け、すぐに重心を前へ戻してこちらへ駆け寄ってくる。

 横から来る攻撃を刀で正面から受ければ、刃が欠けるか、最悪折れる。

 刀の弱点を突いた攻撃――いいセンスしてる。


 反り避けてかわすと、今度は回転して足を狙ってくる。

 咄嗟にバク転して距離を取る。


 刀とメイス。武器相性では不利ではない。

 だが問題は、あの少年の回避。異常だ。

 普通、攻撃の一つや二つはかすってもいいはずなのに、彼にはそれが通じない。


 ……まあ、俺に対しても同じことは言えるんだけど。


「やば、久しぶりにMCO配信の中で楽しいわ」


 思わず笑いながら呟いた。

 停滞――というより、刺激がなくなって久しいこの世界で、ようやく“楽しさ”を思い出した。


「久しぶりなんすね」


 彼もまた、とても楽しそうに笑っていた。

 配信の制限時間が近いのはわかっている。

 けれど、もう少しだけこの戦いを続けたい。

 この感覚を、手放したくなかった。


昨日はすみません。書き溜めができない性格でして。


誤字脱字があったら報告していただけると幸いです。

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