19.秘色の髪の少年
休憩も終わり、特に変わりもなく55戦目。
「よろしくお願いします。」
一応50戦目からは対話できるようだったので、最初に挨拶をしておく。
1戦目(51人目)、2戦目(53人目)は相手のマナーも良く、少し会話しながら楽しく戦えた。
もちろん言葉が使えるということは、ハッタリも使えるわけで、3戦目(54人目)ははったりだまし技などいろいろけしかけられて正直まだ身体がボロボロではある。
これに勝ったら休憩なので、50戦目から5回ごとに休憩をする理由がわかった気がした。
手の感覚が少し鈍い。握っているメイスの重みが、さっきよりずっと重く感じる。
ほか1人については凄く煽られたので、撮られていることを忘れてめたんこ煽り返してしまったが、そんなのは知らないことにしようと思う。
「次の相手さんは、マナーが良いといいな…」
(カメラ、ちゃんと追えてるかな…?)
相手は秘色の髪に陶器のような肌。僕の髪色(ミレイちゃんと同じベビーピンクにされた)とは正反対だ。
キャラクリがうまく、MCOの世界での傾国の美女と言われてもそうだろうとしか言えないような顔。
どこか、知っている誰かの面影がある気がした。もちろんそんなはずはないけど。
「あ、よろしく。」
「始めて良いかい?」
美女というより、美男子だった。その人の武器は日本刀。似合いすぎるな。
それに対して僕はメイス。
切る武器と叩く武器。
「手加減してくださいね?」
そう言って、すぐに地面を蹴って両手でメイスを振り下ろす。
隙ができた僕の脇に相手が、構えていた刀を滑らせる。日本刀は切れ味がいいので、振り下ろしていたメイスを回転させて、横の刃で防ぐとカキンと金属がこすれる音がする。
「ごめん!俺、普段から刀メインだから無理かも!」
楽しそうに秘色の髪の少年は笑った。
その笑顔を見て、ふと胸の奥がざわついた。
──戦うことが、こんなに楽しそうに見えるなんて。
明日は諸事情により、更新がありません。
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