2.はじめましての少女
再び目を覚める頃には朝日が差し込むには少し早めの、仄暗く、どこか懐かしい知らない教室の机に突っ伏していた。
一体何がおこったのだろうか。身体の不調を確認する。身体が重い…。考えているだけでも頭にズキズキと痛みが走る。
…今何時だろうか。
朝と言うには早すぎるし、夜と言うには遅すぎる。
でも多分こんなことをしている場合ではない。
記憶をさかのぼりながら両親のことを考える。
あの人達のことだから心配はするだろうな。
この場所はどこだろう?
あの場所で何があった?
あれから何時間経った?
そんな事を考えていた時だった。
「えっと、貴方は、…泉光希くんであってる?」
ふと自分の名前を呼ばれてミルクティーベージュの瞳と目が合う。制服を着るには少し幼すぎるような見た目の高校生らしき少女。
「えっと…なんで僕の名前を…?」
そう答えると、待ってましたと言わんばかりのキラキラとした目でこちらを覗いてくる。
「あのね、私ね、ずっと待ってたの!」
何をだ…、?
この少女は僕のことを知っていて、僕を待っていたのか?「えっとね…」と少女は話し始める。
曰く、この世界では現在、VRMMO【Metaverse confusion Online】通称MCOがゲームの主流となっていて僕はそのゲームがリアルになってしまったセカイから回帰、つまり過去に戻って来たということ。
元のセカイはMCOのバグから生まれたもので、全世界にゲームが浸透することによる記憶媒体のデジタル化によりMCOの世界に囚われた現実だということ。
それを義父から丁寧に名前と写真付きで僕に伝えて欲しいと言われたこと。
「そこで、貴方にお願いがあるの。私と一緒にゲームの配信やってくれない?」
いや一体どういう思考でそうなったんだ。
まだあどけなさが残る少女は、無理に大人のふりをしているせいで言語化できない違和感のある口調なんて気にすることなくただ僕を見ていた。
まだ状況を少ししか教えてもらっていない、彼女の名前も教えてもらってない。僕はあまりの突拍子もない発言に少し引いてしまった。
誤字脱字があったら報告していただけると幸いです。