海底のなかの告白
ザッと
くずれるように血の気が引いて
万物すべてに冷めるようなきがしたよ
ひとり
おもいでの片鱗をいとおしむ
わたしたちのおもいでも
もうすぐ時効をむかえるから
つれなく重い両腕で
水圧のなかに
あのひの表情をさがしたりもした
わたしとあなたの
忘れるはずの無い
あかい表情 あおい表情
ぜんぶぜんぶ
むらさきに ねじけていったね
砂浜は はだいろにとけていた
あの日
ドラマティックに浮かれた海は、もっと
青かったと
記憶していて
今
海底では
みどりっぽい淀んだ水が
肺を懲らしめようとしている
もっと正当な処置があるでしょう、と
ちいさくてまあるい
泡をはく
心臓が楕円にパンクする
ひかりの薄い海底で
こころおだやかに
かんがえる
せめてもと
切っても切れない
海底のなかの告発文を
あなた宛に記そうとおもう
告白、言い換えれば告発。