不遇な一般人の召喚
食べながら行き交う人を観察していると
人だかりが城っぽい所の前にあった。
(見てみるか?)
熱さと格闘しながらも、食べ終わり
ゴミ箱を探す
(というか箱なのに捨てていいのか?)
一応、店主に聞きに行く
「これって……」
「パンドラかい?なら、こっちで処分するから」
(パンドラ…って箱のことか……?)
「業火が入っていたパンドラはねぇ厳重に封印してから処分しなきゃ魔なる者達が寄ってきちまうからね、私が回収しているんだよ」
これを標準語に戻すと
「たこ焼きのゴミはゴミ袋にいれて捨てないとハエが寄ってくるからゴミを回収している」
となる
「……ありがとうございます。所であそこの人だかりってなんですか?」
「あぁ…あの烏合の衆かい、召喚の儀がようやく成功したらしい」
「でも言語が通じないらしくてねぇ……」
「召喚、ですか?」
(言語通じないって事は外国人とかなのか?)
堂宮は気づいていない。
厨二病だった経験から、堂宮自身は無意識に自動翻訳されているが、そうでない人間にとっては、英語を喋っているようなものだということを
「ありがとうございます。では」
「あぁ、行くんならこの道を真っ直ぐだよ」
後ろ背に聞いた声に礼をして
歩き始める
(この見た目だから子供だと思われてんだろうな)
そう思いながら
「召喚」について考える
(召喚…呼ぶのか?言語が通じない…俺は通じたから外国語か?)
いや、それもどうでもいい
(俺と同じ境遇の人がいたのか…!!)
堂宮は感激のあまりに震えそうだったが、人だかりが近づいてきた為に抑えた。
「召喚者様!!」
「漆黒の闇へ行かれては…!!」
人だかりから聞こえてくる大声
(召喚者、は国の外に出ようとしてるのか?)
「うるさい!さっきからなんですかっ?!漆黒とか召喚者とか!!」
「ですからっ貴方様が神々に選ばれし召喚者様なのです!!」
聞こえてくる揉める声に英語は含まれていない
(は??日本語…だよな?!)
「じゃあなんで言語通じねぇんだ…??」
だんだんと近づく大声
「僕は召喚者とかじゃないですっ!!家に返してくださいッ!」
「あの魔法陣の上に現れッ聖なる龍の証が着いているのに召喚者様じゃないなんてことはありません!!」
「あぁもうっ!僕は!ただの!日本に住む!しがない!一般人ですッ!!」
(やっぱり日本語…だな)
人だかりが揉めている事によって無くなっており
堂宮は難なく近づけた
「あの…」
「次はなんですかッ?!」
バッとこちらへ怒り心頭な様子で振り返る召喚者
だがその目線に呼びかけた人間は居ない。
「あれ…?」
「下です、下」
その言葉通りに目線を下げてようやく堂宮の方を見た召喚者が驚いた顔をする。
「えっ…こ、子供?ごめんねっ大声出して…」
「大丈夫です、それより…」
「生命を授かれし小さき命よ、この方は貴様にとっては神のような尊きお方だぞ、龍聖紋を授かりし剣聖様だ」
(小さき生命…子供か、りゅうせいもん…龍聖紋の剣聖…なんだそりゃ)
「子供にもそれなんですか?!僕は神でもなんでもないですし、りゅーせーもん?のけんせいってなんですか!?」
(ん???)
「ちょっと待ってください、召喚者…さん?日本人、ですよね?」
「えっ?!日本人!?そうです!!」
「なら、話通じますね。僕が話すので一旦落ち着いてください。」
「そ、そうか?ならば、屋敷の東にある離れを使えば良いだろう」
その言葉に甘えて、場所を借りることにした為、移動する。