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転生したら早くも命の危機!?

結局穴に埋まることはせず

その場に倒れ込んだだけだった


「こうして見るとただの綺麗な空に見えるんだけどな……」

「なんて鳥だよあれ」


目線の先にいるのは

宝石のような鳥


「重そうだけどどうやって飛んでんだ?」


そう疑問を口にした途端に

視界に

輝く宝石鳥(ジュエリーバード)

生態

光る鳥(シャイニングバード)が蒼き宝石の露を

飲み、進化した姿

宝石は重いがあの鳥の体には通常の鳥の10倍筋肉がある為、飛べている

穏やかで自身から人を襲うことは無いが

宝石を奪われそうになれば

豹変したように攻撃してくる


これが叡智なる魔眼か……他に鑑定眼とかあっただろ、なんでこれなんだよ

というか


「……あの鳥の名前、アホじゃねぇの?」


とりあえず分かったのは


「攻撃しなきゃ穏便か」

「筋肉10倍とか……怖、あのちっさい体にミチミチすぎるだろ」


上空8m程だが

肉眼でギリギリ捉えれる程に小さい

恐らく鳥自体は……


「……ん?」

「俺って大分視力悪かったはずなんだが……?」


自部屋だが趣味の悪い暗い部屋で

パソコンやスマホとブルーライトがある物を

見ていたのだから

少なくとも上空8mの鳥なんて見えなかった

なんならド近眼の筈


「そういえば視力悪いのは魔眼封印してるせいとか言ってたな……」


思い出した黒歴史の一つ

転生とかいいから今すぐ昔の自分に伝えたい


「このまま生きれば生涯孤独のまま事故死するぞってな……」


伝えるとしたらどの頃だろうか

もう長い事拗らせていたからな…


「てか何でこうなったんだ」


思い出そうとしても頭を捻っても、抱えても

何一つ思い出せず、つい唸ってしまう


「……思い出せん」


抱えた頭を上げると、日は暮れ始めていて

空が茜色へと変化していた


「もう夕方か……?!」

「野宿する、のは危険そうだしな……」


どんな獣が居るか分からない中で

何の装備も無く子供の体で野宿は危険過ぎる

そう考えるが、他に出来ることがない


「……?」


堂宮の視線の先には暗くなった空

それから自然では無いような明かり


「明るいって事は……街、か?」


まだ堂宮はこの世界に何があるか知らない事ばかり、それでも何も行動しないで

ここに留まり餓死する

そんな行動は取りたくない

幸いにも森には淡く発光する植物があり

木々も高い、子供の体なら難なく通れる。


「行ってみるか……」

「5キロも歩けば流石に何か見えるだろ」


耳を澄まして足音や茂みの揺れる音

獣の咆哮や、唸り声の聞こえてくる方

それらの道を避けながら

明かりの見えた向きはずらさずに

だが堂宮はその事に気を配りすぎた

そう、失念していたのだ

ここは異世界、居るのは普通の獣だけでは無い


堂宮は薄らと冷気を感じ進む足を止めた


(……なんだ?)


隠れながらも冷気の感じる方向を見た

そこにはゆらりゆらりと薄い布のような物がはためいていた、布は青白く、淡く発光していて


(……?!)


その布は、ゆったりと堂宮の方を振り向いた

瞳も口も何も無い、ただの布の筈

なのに、その布は足もないのに

堂宮の隠れる茂みに

ゆっくりと近づいてきた


(何だよあれ……?!)


息を殺す堂宮、しかし布は見えているかのように

近づき、茂みを覗き込んだ

その布には無かったはずの碧い眼が

堂宮は急いで逃げ出し

無我夢中で後ろを振り返らず走り始めた。


(あんなのに捕まったら……!)


体力も底が見えてきて

止まってみて後ろを振り返る

布は堂宮を追いかけてきていなかった


「いや、撒けた……のか?」


とりあえず一旦隠れようと、足を動かそうとした


「は……?」

(足が、動かない……?)


足を見れば氷が足に張り付いていて

接触部分は足が今にでも凍りそうな程に

冷たい


「何で氷……?!」

(何処から……)


ゆらり、と

布が揺らめいた


「!?」


先程見た布

だが先程とは姿が異なる


(布じゃなくて魔術師かよ……?!)


布にあった碧い眼が顔の部分に1つ大きく

存在していて

金色紋様が入った薄鼠色の尖ったつばの広い帽子

青白く発光するローブ

足どころか腕も無い

だが浮いて、確かにそこに存在している


「転生して、すぐ死ぬのか……」


氷塊が大量に宙に浮いている

凍ってしまった足のせいで逃げる事も叶わず

諦めた様に笑う


(死んだ先でまた死ぬなんてとんだ悪運だな)


ふと思いつく


(MPとか知らんし体力もほぼ無いが)


自身の持つスキルは使えないだろうか、と


「この際羞恥心なんて持ってても意味無いしな」


30年拗らせ、最初に作ってから

ずっと覚えていた

忘れたくとも忘れる筈がない


虚無の叛逆(ヴォイド・リベリオン)


そう告げた途端

虚無の空間が広がり、魔術師を呑み込む

今まで何の音も発さなかった魔術師が耳が壊れそうな程高い音で叫ぶ


『ギャァアアアアアッ!!!!』


そして、空間は崩れ

魔術師もその場から消えていた

足の氷もパキパキ、と音を立て砕け散った


「は……終わったのか……?」

(外から見れば何もされていなかったように見えたんだが……?)

「終わったにしても、」

「少し休憩してから行くか……」


逃げる為に走ったせいで体力はほとんどない

足だって、氷は砕けたが

未だに冷たく、感覚があまりない

動かせる状態でも無いため

隠れてから休憩する事にした。


(まぁ…アイツみたいな場所見えてるみたいに近づいて来るやつも居たんだけどな……)

(というか、慌ててたけどさっきとてつもない厨二病発言しなかったか……?)

(……これで終わりにしよう、そういやスキルも使ったらMPどうなんだ?)


そこでまた思う


「また言うのかよ……」


「……ステータスオープン」


ウィンドウが開き、MPの所を見ると

MP 49

隣にはHP 6、と書いてある


「は???」

「アイツ倒せたのに1……??」

(HPは減ってる……なら)

「マジ、なのか」



もしかしたら

自身は厨二病を辞められないのかもしれない

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