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短編集  作者: やまのしか
2/12

ある天才とレーダーの物語

昔々、ウォール街に、一人の無鉄砲な少年が住んでいました。

人は彼のことを「無鉄砲な少年相場師(boy plunger)」と呼んでいました。

少年はバケットショップでハイローを賭けるだけのギャンブラーでしたが、

いい相場勘をしていました。

ある日の夕方、彼がいつものようにウォール街を闊歩していると、

一人の老婆が占いの店を開いてました。

「ちょっと占ってみるか」

彼は軽い気持ちで占いを頼むと

「確実に資金を増やせる魔法のようなテクニカルがあるが、買うか?」

と話を持ちかけられました。

少年はそんなものがあるはずがないことをよく知っていましたが、

その老婆があまりにみずぼらしかったため、

人助けのつもりで買ってやることにしました。

老婆は一枚の大きな紙を広げました。

そこにはある有名企業の日々の終値を結んだ線と別の5本の線、

あと何やら漂う雲のような図柄が描かれていました。

「これは東洋の手法じゃ、愚か者には正しくは見えんが、賢者には正しく見える、しかし一寸でも疑ったら、たちまち正しく見えなくなるものじゃ、よくよく注意して使うがよい。」

老婆はそう言い残すと、さっさと店を畳んで去っていきました。

それから暫くして、ウォール街にある噂が広がりました。

それは「ハイローで大勝している凄腕の少年ギャンブラーがいる」という噂でした。

やがて少年は大人になり、ウォール街でディーラーとしてデビューしました。

デビュー早々大きな相場を次々と当てて、二十歳ながら彼の名はウォール街で知れ渡っていきました。

彼は半年間ことごとく勝ちました。

なぜ彼がことごとく相場を当てれるのか誰にもわかりませんでした。

ある日の朝、彼はいつものように5番街の最高級のホテルで、

東洋の秘伝のチャートを眺めながら朝食をとっていました。

彼は少しだけ天狗になっていました。

相場で連戦連勝したのは、なにもかもこの手法のおかげなのに、

彼には、そうは思えなくなっていたのです。

この日の朝、ふと東洋の秘伝のチャートを眺めてる最中

「俺が上手いのは、俺の才能じゃね・・・」と思わず呟いてしまいました。

次の瞬間、

相場が彼の思惑と逆行し始めました。

やがて彼は破産しました。

そう、彼の名はジェシー・リバモア、20歳、一回目の破産でした。

東洋の秘伝の手法は「一目均衡表」だったとさ(嘘です)(笑)


おわり

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