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第67話 素材集め

「はぁ……ひぃ……」


 ようやくガベージマウンテンの中腹あたりへと辿り着いたのだが、足場が安定しないこともあり、かなり体力を消耗してしまい、着いた頃には息も絶え絶えだった。


 辺りを見回すと、他にも人がいるようだ。

 皆一様に廃棄物を漁っている。


 その中に見知った背中があったので、声をかける。


「おーい、二人ともー!」

「――あっ、ケーくんきた!」

「ったく、おせぇぞ。もう頂上付近は見終わったから、ケイタもこの辺探すの手伝えよ」

「お、おう。わかった――って、何を探すんだ?」


 そういえば目的を聞かずにここまで来てしまった。

 まあ周りを見ていれば廃棄物を漁りに来たっていうのはわかるけど、具体的に何を探せばいいのかはわからないままだ。


「ん? 言ってなかったか。まあさっき見たとおり、定期的に上から廃棄物がここに棄てられるんだが……中には『使えるもの』が混ざってるんだ。他の連中もそれを探しに来ているってワケさ」

 

 なるほどな。さすがに食料はなさそうだったけど、売れば金になるものや、生活に必要なものがタダで手に入るってわけか。


「んで、コイツがオレたちの探しているもんだ。ほれっ」


 カティアが俺に向けて何かを放り投げた。

 咄嗟に受け取ったそれをよく見ると、俺にとってとても馴染みのあるものだった。


「これは……ランナーか!」


 ランナー……プラモデルのパーツを取り囲むような枠組みのことだ。

 パーツを切り取ったあとは、こうやって捨てられることが多いが、使い方次第で様々な用途がある。

 

「そっちの国ではこれをランナーって言うのか? このランナーってのはオレらの国では完全にゴミ扱いなんだ。だが、キャッツシーカーにとってこいつは価千金のお宝なのさ」

「おたからー!」


 リンは自ら探し当てたであろうランナーを自慢気に掲げていた。


「お宝……?」


 俺もプラモデルを作り始めたばかりの頃は全部捨ててたな。でも色々な使い道があることを知ってからは、ある程度ストックするようにしていた。

 しかし宝と呼べるほどの価値があるかどうかは疑問だ。魔動人形を作った際に出る端材なので、稀少性が高いのは間違いないと思うんだが……。


「こいつはな、イマジナリークラフターで何かを作るときの原料になるんだ。オレらにとっちゃお宝同然ってワケだ」

「――! そうか、それは重要だな……!」


 魔動人形を構成する素材は、作ることができない。

 だがこのランナーは、間違いなく魔動人形と同じ素材だ。

 極端な話、イマジナリークラフターを使えば端材から一機の魔動人形を作り出すことができるってわけか……!

 

 それは間違いなく『お宝』だ。


 なんせ最低ランクの魔動人形でも、一体売却すれば数年分の生活費に相当するからな。


「よーし、そうとわかれば俄然やる気が出てきたぞ!」

「にゃはは! がんばろー!」



 それから約一時間捜索を続け、見つけたランナーは全部で六個。

 多いのか少ないのかはわからないが、カティアに聞いたら「まあ一日でこれだけ集まれば上々だ」と言っていたので、今回の成果は良かったほうなのだろう。


 これ以上の捜索は無意味だと判断した俺たちは、家を兼ねた社屋へと戻ってきていた。


「――さて、素材も集めたことだし早速準備を進めようか。あ、そういえば魔動人形はもう用意できてるのか?」

「……ん、まあ、一応あるっちゃあるが……」


 なんだ、カティアにしては歯切れが悪いな。なんだか嫌な予感がするぞ。


「ケーくん、これがリンのお人形さんだよ!」


 リンから魔動人形を手渡される。

 

「どれどれ……んぁ!?」


 手渡されたのは、青銅色のぶ厚い装甲を持ち、大きな赤い一つ目が特徴の機体だった。これは前に王国からの依頼で作ったことがある。……確か『サイクロプス』と呼ばれる魔動人形だったな。

 せっかくだから見たことがない魔動人形を触りたかったとも思ったが、それよりも重要な問題があった。


「これ……腕はどうしたんだ? それに他のパーツにもヒビが入ってるとこもあるぞ」


 手渡されたその機体は、両腕の肘から先が失われていた。

 更にはダメージを負ったのか、ところどころ欠けたりヒビが入っている部分が散見できる。とてもじゃないが


「えーとね。新しいお手々作ろうと思ったらぼかーん! ってしちゃったの。ちょっとボロボロなのは、んーと……古いから?」


 あーそういうことね。

 壊れかけた腕部パーツを素材にイマジナリークラフターを使ったら、失敗して爆発しちゃったのか。

 

「そっか……じゃまず新しい腕パーツ作らないとだな。あとは全体的に補修もしないと」


 腕がないんじゃ戦いにならない。本番は明日だ、可能な限り手を加えないとな。


「――じゃあケイタ、後は任せたぜ。オレはそっち関係はからっきしなんだ」

「わかった、任せてくれ」

「ハッ、頼もしいじゃねぇか。期待してるぜ」


 そう言ってカティアはどこかへと行ってしまった。


 その背を見送りながら、期待に応えるべく俺は意気揚々と作業に取りかかった。

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