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第49話 シルヴィア回想編②

「……では、決闘などいかがでしょうか? もちろん、対価を賭けた決闘です。そうですね、王家の認可を得て正式なものにしましょう」


 振り向き様にそう告げたカマセーヌ様に、私たちは返す言葉を失いました。

 それほどに突拍子もない発言であり、その真意がどこにあるのか全く予想がつかなかったのです。


「――決闘?」


 お父様はそう返答するのが精一杯だったようで、訝しみながらも、その真意を問いました。


「断るのですか? それでは……あなたがたの家宝は二度と戻らないでしょうねぇ……」

「何……!? やはり貴様が……!?」


 その口ぶりから、やはり彼がアイギスの盗難に関与しているのは明白でした。

 そして、アイギスを担保として私たちに決闘を挑んできたのです。


「さて……どうでしょうか? もちろん、受けていただけますよねぇ?」

「対価を賭けると言ったが……私たちはいったい何を賭けるのだ?」

「娘さんを……と、言いたいところですがそれだけではつまらない。そうですね……こちらが勝てば、『ヴァイシルト家の全財産、全ての権利、土地含めたヴァイシルト家の全て』をポクのものにする。あなた方が勝てば、『望むものを返す』……これでどうですか?」

「全て……!? お父様、そんな条件は受け入れることはできません! 領民のためにも断りましょう!」


 お父様も当然私と同じ気持ちだと思っていました。

 しかし、頭を抱えいつまでも返答のないお父様の姿に、不穏な空気を感じます。


「お、お父様……?」

「――――わかった、決闘を受けよう」

「お父様!? いけません!」


 お父様の口からか細く漏れたのは、受理の言葉。

 家宝は大事だとは思いますが、全てを賭けるほどなのでしょうか……私のような若輩者にはわかりません。


 私の倍以上生きているお父様は、アイギスの件で様々な葛藤を抱えていたのかもしれません。

 その心中を察することは私にはできず、押し黙るお父様に

これ以上かける言葉が浮かんできませんでした。


「フッ、では後日正式な書状を送るよ。楽しみにしているといい」


 そう言い残し、カマセーヌ様は去っていきました。


「すまないシルヴィア……だが、いくら我らが落ち目とはいえ、相手は格下だ。勝てば全て元通りなのだ、勝てば……」


 重い空気が流れているなか、『勝てばいい』と半ば自己暗示のような形でお父様は言いました。

 確かに落ち目であるとはいえ、魔動人形による戦果で成り上がったヴァイシルト家は、魔動人形戦におけるノウハウが蓄積されており、その戦闘技術は代々受け継がれています。


 魔動人形こ扱いにおいては、一日の長があると言えるでしょう。

 お父様はその点を考慮された上で決断されたのだと思います。それに、カマセーヌ家は最近になって頭角を現したばかりであり、確かに現時点で戦えば私たちが有利なのは間違いありません。


 ですが、果たしてこのまま正々堂々と勝負をしてくれるのか。それだけが私の危惧するところでした。



 ――そして、ある日その嫌な予感は現実のものとなったのです。

 

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