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第39話 開幕ぶっぱ

『さあ皆様長らくお待たせいたしました! 本日のメインイベントの開始の時間となりましたぁ! 我が国の第二王女でありながら、その鮮やかな赤髪と烈火の如し武勇を称え、『炎獅子』の二つ名で呼ばれるフラムローゼ・アークライト様! そして、かつてこの場で起きた奇跡の体現者、ケイタ・サガミ! 大・大・大注目の対戦カードです!』


 実況が会場全体へ響く。シルヴィアのおかげで落ち着きを取り戻したとはいえ、さすがに本番直前だと緊張するな。

 それにしても『炎獅子』か、二つ名持ってるだなんて格好いいじゃねぇか。そんでやっぱり、二つ名からして火属性の攻撃をしてくると見て間違いなさそうだな。


『そして今日はタッグマッチでの戦いということで、お互いのパートナーにも要注目ですよぉ! さあ、いよいよ選手入場です! ケイタ・サガミ陣営は入場お願いしまぁす!』


 いよいよだ、俺が奴隷のように働かせられるのを阻止するため、全力で抗ってやるぞ!


 俺はシルヴィアと顔を見合せ、無言で頷きあった。


「「ドールコネクト!」」


 掛け声とともに、俺たちの体は光に包まれ、会場に全長十メートルを越える機械の巨人、魔動人形(マギアドール)が出現する。

 それと同時に客席が熱狂に包まれ、割れんばかりの歓声が俺の耳に届く。


『さぁ、やって来ました! ケイタ・サガミ陣営の魔動人形は……銀等級(シルバーグレード)の『ワルキューレ』に、同じく銀等級の――おっと!? これは……黒? ……黒い『シルバライザー』でしょうか!?』


 確かにガンメタで塗装したけど、何をそんなに驚いているんだ?


『登録された情報によりますと、この黒いシルバライザーに搭乗しているのが、ケイタ・サガミ選手です。染色すると、性能の低下に繋がるとされていますが、これは余裕の現れなのでしょうか!?』


 えっ、そうなの!?


 いや、ステータスを見た限りではメリットしか無かったんだが……この世界の塗料はプラモデルには合わないやつなのかな? ものによってはデコボコしたりするって聞くし。


『さあ、続きましていよいよ『炎獅子』フラムローゼ・アークライト様陣営のご入場です。お願いしまぁす!』


 数秒後、俺の目の前に赤銅色の魔動人形と大盾を持った濃紺の魔動人形が現れた。

 二体いるが、見ただけでわかる。この赤銅色の機体がガレオニクスだ……感じる威圧感が盾持ちの機体の比じゃない。


 炎獅子の名に相応しく、胸部には獅子を象った黄金色の装飾が施されており、その佇まいには威厳すら感じる。

 背中には計六本の背部バインダーが肩あたりから膝あたりまで伸びており、マントを装着しているように見える。どこか高貴ささえ感じられ、他とは一線を画す出で立ちだ。


 武装らしきものは腰に帯びた一振の大剣のみ。武装はこれひとつだけなのか……?

 もう一機の方は、両手に大型の盾を持っていて、こちらは一切の武器を持っていないように見える。


「よく逃げずに来ましたわね、ケイタ・サガミ!」


 相手の機体を見て分析していると、相手の魔動人形から拡声された言葉が聞こえた。この声は王女様か。


 どれ、挑発されたしこっちも言い返してやろうか。

 

「逃げる? なぜ俺が逃げなければならないんですか? 勝つのは俺ですから、逃げる必要なんてないでしょう」

「――ハハッ! 言うじゃありませんの。自信がある男性は嫌いではありませんわ。……それでは、あなたの言葉が口先だけではないということを、わたくしに見せてごらんなさい!」

「望むところです!」


『――さあ、両者には浅からぬ因縁がある様子ですが……いよいよ開始の時間と相成りました! この決闘の勝利条件は、降参するか、片側の陣営の魔動人形が全て戦闘不能に陥るかのどちらかです! 皆様大注目のこの一戦が、幕を開けます! それでは皆様ご一緒に! 3、2、1……スタンバイ! レディ……ゴォォーッ!』


 実況の合図と共に決闘が始まった。

 慌てるな……最初の一手はもう決まっている。


「シルヴィア!」

「はいっ!」


 俺は敵から視認されないよう、シルバライザーの背部にマウントしていた銃火器を両手に持つ。ランナーの廃材を利用し、少し不格好ながらも新たに複数の武器を保持する改造を施したのだ。

 そして同様の改造を施したワルキューレも、シルバライザーに続き背面にマウントされた銃火器を手にする。

 

「一斉掃射だっ! 目標ガレオニクス!」

「了解、撃ちますっ!」


 銃口から次々と放たれる魔力弾。前に設定していた操縦補助の項目の一つ、『照準補助』の効果で、かなりの精度で射撃できたはずだ。


『おおっと、シルバライザーとワルキューレは一気に勝負を決める作戦か!? 魔力残量を考えずどんどん射撃しています!』


 確かに、普通の武器だったら一発毎に魔力を消費してしまうので、ここまで乱射したら反動で魔力の大半を失うだろう。

 だがそこは考えてある。何故ここまで連続した射撃が行えたかと言うと、魔力内蔵型の武器を用いたからだ。色々な武器を装備させてステータスを確認してみたところ、見慣れない表記がある武器があったのだ。


――――――――――――――


【武装】


マギアライフル(魔力内蔵型)


――――――――――――――


 このように表記された武器は、武器自体に魔力が内包されていて、どれだけ撃っても魔動人形本体の魔力を消耗しない利点がある。

 だが欠点として、魔動人形とは違い魔力の自動回復が行われないので、魔力が尽きた時点で武器としての役割を終えてしまうのだ。

 今回はこの利点だけを重視し、使い終わった武器を捨てることで魔力の消費をせずに弾幕を形成したのだ。


「くっ、たったの三発ぽっちかよ!」


 だが実戦で使うのはこれが初めてだ。どれぐらい撃てるのかなど検証はできなかった。

 残念なことに、今放り投げたマギアライフルのように、三発撃つのがせいぜいなものが殆どだった。


 十数秒に渡る射撃の末、いくつもの爆発や閃光に包まれ、ガレオニクスが立っていた場所には煙が立ち込める。

 これで倒せていたのなら、万々歳なんだが……。


「……やったか?」


 あ、やっべ。自らフラグを立てちゃったよ。

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