第31話 新機能その1
ザコブとの決闘の後、スマホに数件通知が来ていた。
『魔動人形による戦闘初勝利ボーナス』と『銀等級の魔動人形に初勝利ボーナス』、そして『ジャイアントキリングボーナス』の三つだ。
そのボーナスを確認して得たのは、アイテムじゃなく、スマホの拡張機能だった。既にあるステータス確認機能とアイテムボックス機能に次ぐ新機能、『登録機能』『操縦補助』『アナライズ』の三つを新たに獲得した。
手に入れたときに試してみたのだが、登録機能はとても便利だった。この機能は簡単に言うと、『魔動人形をスマホに登録できる』というものだ。
本来ならば魔動人形の契約は一人一機までである。新しい魔動人形と契約するためには、古い方の契約を破棄する必要があるのだ。しかしこの登録機能を使えば、魔動人形をスマホにかざすだけで、契約したことになる。
つまり、一人一機の制限をなくすことができるのだ。
と言っても、木偶の坊の方は契約破棄してヴァイシルト家に返却したので、俺の所有しているのはシルバライザー一機なので、今のところ複数契約はできていないので、たいした恩恵はない。
……強いて言うならバングルがいらなくなったってことぐらいか。
他の二つに関しては、どうやら魔動人形の搭乗時にしか使用できないみたいだった。部屋の中でいくらスマホを操作ても、うんともすんとも言わなかったのだ。
まあ魔動人形で戦闘したことによって得た機能なので、それも当然と言えば当然か。
魔動人形に乗り、早速スマホを操作するが、部屋でいじった時同様に、画面を開いても何も起こらなかった。
「あれ、おかしいな……? 俺の予想が外れてたのか?」
予想外の出来事に首をひねっていると、スマホ画面にメッセージが表示された。
「なになに……『魔動人形との接続を開始しますか?』だって? 接続……? どういうことだ?」
そのメッセージの意味はよくわからなかったけど、試してみないことには状況は変わらない。俺は少し迷ったあと、YESのボタンをタップする。
すると、正面に台座が現れたのだ。今まではそんなもの存在しなかったので、急に現れたことに驚いてしまう。
「うおっ!? なんだこりゃ」
よく見ると台座の中央は窪んでいて、ちょうど俺のスマホがジャストフィットしそうな大きさだった。
ふぅむ、つまり……そういうことなのか?
「ええい、ままよ!」
窪みにスマホをあてがうと、まるで専用に作られたかのように案の定ピッタリサイズだった。
しばらく様子を見守っていると、画面には『登録済み魔動人形との接続完了』の文字が。やっぱりこれで正解のようだな。
次の瞬間、新たなウィンドウが二つ現れた。どれどれ、さっそく見てみよう。
このウィンドウは『操縦補助』かな。いくつか項目があって、それをオンオフできるような感じだ。
試しにウィンドウを操作し、項目の中の一つ、『自動姿勢制御』をオンにしてみる。
姿勢制御っていうぐらいだから、バランスを崩した時に効果がある感じだろうか。よし、とりあえず動き回ってみようか。
「うーん……よくわからんな」
色々と動き回ってはみたものの、特に補助を受けたような感覚がない。腕組みしながら思考していると、『歩け』の命令を出したままであったことを忘れていた。
足下には機体の脛ぐらいまでの突起があり、それに足を取られて転倒しそうになってしまう。
「うおっ! ヤバっ!?」
倒れた時の衝撃に備えて身構えてしまったため、俺は意思伝達装置から手を離してしまっていた。
しかし、機体は倒れることなく、各部の姿勢制御用のバーニアと背部のスラスターを駆使して、アクロバティックな動きをしつつ直立状態へと戻ったのだった。
「――――え?」
宙返りに近いことをしたので若干目が回っているが、予想していた転倒による衝撃は一切感じなかった。そうか、これが操縦補助の効果……転倒を防ぎ、直立状態へと戻るように自動で操縦してくれるのか。
しかし……便利だけど欠点もある。魔力残量が最大値から一割ほど減っていた。姿勢制御のためにスラスターを噴かしたことによって消費したのだろう。
転倒によって発生する致命的な隙を消せるのはいいけど、自動で発動するぶん、魔力残量の調整が難しそうだ。魔力残量が無くなれば、攻撃はおろか防御にも支障が出る。
とりあえずはオンにしておくけど、最終的には自分の判断で姿勢制御できるようになるのが一番だな。
◇
そんなこんなで、一通りの項目をオンにして試しながら、自分に必要な部分だけを採用するかたちに落ち着いた。
「……よし、次だ」
俺はもう一つの新機能、『アナライズ』のウィンドウへと目を向けた。




