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第30話 訓練

「おー、ここが訓練にちょうどいいっていう場所かぁ」


 馬車に揺られて辿り着いたのは、ちょっとした山岳地帯。


 採石場って言うんだっけか。盆地の中に、すり鉢場に窪んだ場所がある。

 ここで石材を切り出していたんだろう。しかも、切り口の大きさからみて、多分魔動人形を使って作業してたんだろうな。アリーナと同じぐらいには広いが、地面がでこぼこしてるぶんちょっと動きづらそうだ。


「ようし、じゃあ早速開けたところに降りてくか……」


 馬車の御者さんと護衛の人には、採石場の外側で待ってもらうことにした。万が一事故があったら困るからね。

 

 慎重に足場を渡り、開けた場所へと到着する。

 このシルバライザーに乗るのは初めてだ。早速乗り心地を試してみるとしよう。


「ドールコネクト!」


 視界が一瞬光に包まれ、俺は気が付けば見覚えのある空間へと移動していた。

 

「へえ……コックピットは共通なのかな?」


 キョロキョロと見回してみるが、内装は前に乗った木偶の坊と変わりなかった。真っ暗な空間なのに、不思議と自分の座っているゲーミングチェアみたいな椅子と、計器類とスフィアだけがはっきりと見える。

 まあ操縦に必要なのはスフィアだけだし、違いはないのかもな。


「まずは……動かす前にこの計器類の役割を把握しなきゃ」


 前回の戦いではあまり確認する余裕がなかったからな。まあ、あの時は何となく見た感じで判断できたけど、しっかり把握しておくに限る。


 計器とは言ったが、実際はメーターのようなものが取り付けられているのではなく、半透明の板みたいなのがいくつも浮いてる感じだ。


「おお、動くのか」


 試しに指で触ってみると、好きな位置に動かすことができた。拡大縮小もできて、表示を消すためのボタンみたいなものも付いている。

 あれだな、パソコンのウィンドウみたいなもんだ。位置とか大きさは自分好みにカスタマイズしておいたほうがいいかもしれない。


「ふむふむ……なるほど」


 ウィンドウとしばらくにらめっこして何となく理解した。

 数は五個あって、それぞれ『機体の状態』、『魔力残量』、『レーダー』、『メインモニター』、『サブモニター』の役割がある。


 『機体の状態』は、機体のシルエットが写し出されていて、各部位ごとにブロック分けされている。

 今は全て緑色で表示されているけど、おそらく損傷があったり、問題が発生したりすると色が変化するのだろう。アニメとかでよく見るアレだ。


 『魔力残量』は……まあエネルギー残量を確認できるものだな。横長のメーターのようなものが表示されている。

 魔動人形の動力源は『魔力』だ。魔力が切れれば攻撃もできないし、動かすこともできなくなる。結構重要だから、これは見やすい位置に移動しておくか。


 『レーダー』は予想でしかないが、円形のそれっぽいデザインなので多分そうだろう。魔力を感知して、おおよその位置を割り出すやつだ。


 『メインモニター』は機体から見た真正面の映像を映し出している。これは俺の視界正面から動かすことはできないようだ。まあ動かす気はないけども。


 『サブモニター』は背後や側面の映像が映し出されている。これを確認していれば死角からの攻撃にも対応できるってわけだ。

 ……まあ俺にその余裕があればの話だが。


「――さぁて、計器類はなんとなく理解したし、次は動かしてみますかっと」


 俺は装置に手を触れ、歩くように念じる。

 するとシルバライザーは正面方向へと真っ直ぐに歩き始めた。


「『木偶の坊』とは違って滑らかに動くなぁ。さすがは銀等級ってとこか? よし、次は……」


 直進する機体が壁にぶつかる前に、次は側面のサブモニターに映る『場所』へと移動するようイメージした。

 その瞬間機体は方向転換し、イメージした通りの地点へと向かい、そこへと辿り着くと停止した。


「なるほど……ただ『歩け』と念じると正面へと歩き続けるのか。そんで位置を指定した場合、その場所へ向かうのに最適な経路をとり移動する……と。うーん、案外難しいな」


 戦闘においては状況が流動的に変化するだろう。考えただけで動かせるのは良いことだが、動かし方のセンスが問われるな。決闘までに練習できてよかった。


 できれば攻撃も試したいけど……さすがにエドワルドさんに迷惑をかけるわけにはいかない。ここだけはぶっつけ本番になってしまうだろう。


「あとは……高速移動なんかはどうしたらいいんだ?」


 この機体には高速移動のためのスラスターが付いたバックパックが装備されている。これを使わない手はない。


 試しに『高速移動』と念じてみると、その瞬間機体は前面へとスラスターを噴かしながら移動した。


「うおっ! やば、ぶ、ぶつかる!? 『停止』っ! 『停止』だっ!」


 急加速したことにより、身体にGがかかる。

 壁へ衝突するかと思ったが、ギリギリのところで停止することに成功した。あ……危なかった。

 魔力残量を見ると2割ほど減少していた。めちゃくちゃ速かったし、多分スラスターを最大出力で噴かしたのだろう。でなければわずか数秒でここまで魔力が減ることはないと思う。


 魔力残量だが、時間経過で徐々に回復する仕様のようだ。

 減った魔力は一分ぐらい突っ立っていたら最大値まで回復していた。

 

「スラスター移動にも魔力を消費するのか……これは魔力配分が重要だな」


 ただ歩いていたときは、魔力の消費は確認できなかった。もしかしたら減っていたのかもしれないが、その場合自然回復量が消費量を上回っていたのだろう。

 普通に動く程度なら魔力消費を気にしなくてよさそうだ。


「武装の使用にも魔力を消費すると考えた方がよさそうだな……」


 今は試せないが、そう考えるのが妥当だろう。前の決闘でも、背中のキャノン砲を二発連続で撃ったら魔力切れしてたしな。

 

「よし、なんとなくわかってきたぞ。……それじゃあ一番試したかったこと、やってみるか」


 俺はホルダーからスマホを取り出し、操作を始めた。

 先日の決闘後に追加された、『新機能』を試すために。

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