第21話:一言物申すっ!
家族の体調不良でなかなか続きが書けませんでした。
ここで御礼です。
本作のブックマーク、そして評価をありがとうございました!
なかなか読んでいただけない本作ですが、皆様の反応でどれだけ救われることか!!
本当にありがとうございますっ!!!!
「ふぅ。やっと追いつきました」
『飛翔の術』と『忍隠の術』を使い、自身の姿を見えないようにしたまま空を飛んだ心太は、生徒達に追いつくと、先頭を飛ぶ斎藤ちゃんへと声をかけた。
「っ!?あぁ、小嵐先生ですか。さすが、理事長の姿隠しを見破るだけあって、我々の居場所はすぐに見つけられたのですね」
突然声が聞こえたことに一瞬だけ驚きながらも、斎藤ちゃんは前を無いまま事もなげにそんな事を言っている。
普段からあまり心太と目を合わせない斎藤ちゃんだけど、今回は仕方ないの。
心太の使っている『忍隠の術』は、忍者以外の者から認識されなくする術だから、心太がどこにいるのか斎藤ちゃんにはわからないのよ。
まぁ、心太が術を調整して声だけは認識できるようにしているんだけどね。
ちなみにこの『忍隠の術』、元々は『雑賀家』という、4大名家と呼ばれるうちの1つの家系の本家、そこに代々使えている忍者が専有していた忍術なのよ。
ごく最近、その術の権利が忍者協会に移譲されて忍者ならば誰でも使える忍術になったのよ。
え?権利が移譲ってどういうことかって?
忍術というのはね、作った本人にその権利があるの。
その権利があると、忍術の使用者を限定する契約ができるのよ。
これまで『忍隠の術』は、他の忍者には使えないようにされていたの。
それがこれまではごく一部の忍者にしか使用をみとめられていなかったのに、何故か最近、忍者協会に移譲されて術との契約が自由にできるようになったというわけなのよ。
え?契約ってなにかって?
契約は、忍者の根幹となる力なのでけれど···
ごめんなさい、どうやら話している時間はなさそうね。
「ミエ様の姿隠しを見破ったですって!?」
おそらくユリアちゃんであろう声が、心太の方に近づいてきた。
「うわっ!ウィルソンさん、私にはあなた方の姿が見えないのですから、突然こっちに近づかないでくれません!?
っていうか、そちらにも私の姿見えてないはずなのに、なんで近づいてこれるんですかね!?」
おそらくユリアちゃんの乗っているワイヤレス掃除機がぶつかって、心太は慌てるように声を上げた。
っていうか心太、ツッコミが出ちゃってるわよ。
(おっと、いけない)
「失礼しました、ウィルソンさん。私には皆さんの姿が見えるわけではないので、あまり近づかないでいただけると助かります」
「ワタクシにもあなたの姿は見えていないのですから無理な注文というものですわっ!っていうかあなた、ミエ様の姿隠しを見破ったというのは本当なの!?」
(あ、ウィルソンさんにも見えてはいないんだ)
心太は心の中で呟いた。
「見破った、というほどではないのですが・・・昨日お話しましたよね。魔力は忍力と似ているって。理事長が姿隠しをした際に、その魔力を感じたんですよ。それを追ったら、そこに理事長がいらっしゃったというわけで」
「あら、そういうことでしたのね。それならば、今ワタクシがあなたの居場所を感じ取ったのと似たようなものかしらね」
(なるほど、ウィルソンさんが僕の『忍隠の術』を見破ったのも同じ方法だったか)
心太がそんな事を考えていると、1人で納得したのか、ユリアちゃんの気配が離れていった。
「えっと・・・他のみなさんは私のいるところ、分かりますか?」
それぞれの気配のする方への心太の問いかけに、
「ふむ。全然わかりませんな!」
「ぼ、僕もよくわからない、かな」
吉良君と犬飼君がすぐに答えてくれた。
「忍者、飛ぶんだぁ〜。ウケる〜」
「全然わかんないね、クーちゃん」
華ちゃんと朧ちゃんも、それぞれ一応は反応があった。
(はぁ。剛力君だけは無視、ですか・・・ってあれ?)
唯一反応のない剛力君に肩を落とす心太だったけれど、そこでやっと気が付いたみたい。
剛力君だけが空飛ぶこの一団から遅れていることに。