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魔法使いクラスの忍者先生  作者: メバ
魔法使いクラスの担任
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第14話:吉良君と話そう!

「え、えぇ」

心太の声掛けに、吉良君は戸惑いの色を浮かべて答えている。


「か、彼とはなんの話を?」

「君達との関係について、かな」

吉良君の問に心太は素直に答えている。


大丈夫なのかしら。

いじめている側の彼に、そんなこと言って。


「それよりも、今のはあなたの魔法、ですか?」

「え?あ、はい」

突然の心太の話題変更に再び戸惑いながらも、吉良君は言葉を続けた。


「私の魔法は『転移』といいまして、人や物を自由に、そして瞬時に別の場所に移動させることが出来る魔法、らしいのですが・・・」

「『転移』、ですか。確かウィルソンさんもそんな事を仰っていましたね。そういえば吉良君。あの時ウィルソンに責められていたのは―――」


「それについては、私も困っているんですよ小嵐教諭殿」

心太の言葉に被せるように、吉良君が詰め寄ってくる。


困っている?

確かあの時ユリアちゃんは、下着を盗まれたと言っていたわね。

であれば困るのはむしろ、ユリアちゃんの方なのではないかしら?


「私は確かに『転移』が使えます。しかし、どうにも制御ができないのです」

「制御できない?」


「えぇ。私が魔法を使うと、例えば物を自分の所に転移させようとすると女子の下着が、自分を転移させると女子更衣室や女子のお風呂に転移してしまうのです」

「えっと・・・それは、吉良君の深層心理のなかでそういった所に興味があるからでは?」


「えい、それはありえません」

「いやいや、ありえないことはないでしょ。その年齢じゃ」

心太、ちょっと素が出てるわ。


(あ、やべ)


私の言葉に心太が反省していると、


「いえ、ありえないのです。私は、その・・・男子が好きなので・・・」

吉良君突然のカミングアウト。


「そう、ですか・・・」

吉良君の言葉に、心太は真剣に頷いている。


場合によってはただの言い訳とも取れるこの言葉だけれど、吉良君の真剣な表情を見たらそれを疑うのは失礼というものだものね。


「吉良君。大切な話をしてくれてありがとうございます。

しかし、その話を他の皆さんにすれば、今朝のようなことは起きなかったのでは?」

「それは、そうなのですが・・・でもまだ、この話をする勇気がでないのです」


「私は良いのですか?」

「吉良教諭殿は既に、私の犬飼氏への態度で良い印象は持っておられないでしょう?

せめて、転移の件だけでも、どうしても誤解は解いておきたかったのです」


その話を聞いて、心太も、そして私も違和感を感じた。


こんなにしっかりと物事を考えられる吉良君(この子)が、何故犬飼君にあのような態度を?


心太、ここまで来たら聞いてみなさいよ。


(僕もそう考えてたところ)

心太は私にそう返して、吉良君へと問いかける。


「ちなみにですが、犬飼君への態度については、弁明はしないのですか?」

「・・・・」

吉良君、無言。


「それが・・・私にも理由がわからないのです」

その後に続いた彼の言葉に、心太は首を傾げる。


「私は元々、特に人に対してあの様な態度をすることはなかったのです。

それに犬飼氏は、むしろ私の、その、タイプといいますか・・・」


「えっと、もしかして『好きな子はイジメちゃう』的なあれなんじゃないですか?」

「いえ、それもありません。私は好きなタイプには、尽くしたい方なので」


「あ、さいですか」

心太、口調口調!


(おっとっと)


「では、理由もなくあの様な態度をとっている、と?」

「え、えぇ。何故か彼をみると、ときめく気持ち以上に、何故か苛立ちの気持ちが出てくるのです」


(これって・・・)


心太は、じっくりと吉良君を見つめた。


「こ、小嵐教諭殿?申し訳ないのですが、私、小嵐教諭殿は、その、タイプではないですよ?」

「いやそんなんじゃないからね!?」


ちょっと心太!


「あ、失礼」


気を取り直した心太は居を正す。


「吉良君。転移の件と!それから犬飼君の件、もしかするとどちらもなんとかなるかもしれません」

「え!?犬飼氏と付き合えるのですか!?」


「いやそっちじゃなくて!!」

もう心太、さっきから当たり前のようにツッコんじゃってるじゃない。


こんなんで、これからの教師生活大丈夫なのかしら?

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